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平成17年版の「高齢社会白書」(内閣府)によると、65歳以上の高齢者は2488万人で、総人口の19.5%にのぼります。
高齢化に伴って高齢者に激増している「認知症」について考えましょう。



●認知症の代表的な症状

認知症の主な障害は認知機能障害です。その代表的な症状に「記憶障害」がありま。人によっては、「失語」「失行」「失認」などの症状が併せて現れます。また、認知機能の障害以外に「周辺症状」といわれるものがあります。精神的な不安定状態が、うつ状態、幻覚、妄想などの症状として現れたり、徘徊や失禁などの問題行動となって現れたりします。

■記憶障害
いわゆる記憶力の低下です。加齢によってももの忘れは起こりますが、「もう年だから」と安易に判断するのは危険です。加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れには明らかな違いがあります。
■失語
言葉を正確に操れなくなる状態です。正しい発音ができなかったり、相手の言葉で理解できなかったりします。読み書きができなくなる人もいます。
■失行
動作が困難になる状態です。それまで難なくやっていたことができなくなります。人に何か指示されたり頼まれたりしても、そのとおりに対応できません。
■失認
目の前にある物が何か認識できなかったり、駅から家までの道順がわからなくなって迷子になったりします。色が見分けられなくなるケースもあります。

●加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れの違い
*加齢によるもの忘れ
・生活で体験した一部を忘れる
・もの忘れを自覚している
・忘れたことに対して自力で解決できる
・問題なく日常生活を送れる
・症状はほぼ同じレベルである
*認和症によるもの忘れ
・生活で体験したすべてを忘れる
・もの忘れを自覚していない
・忘れたことに対して自力で解決できない
・日常生活に支障をきたす
・症状が進行して次第にひどくなる

●認知症危険度チェック
次の7つの質問に答え、当てはまる項日をチェックしてください。
・孫や姪、甥など近親者の名前を混同する
・朝話したことを夕方まで覚えていない
・日にちや曜日だけでなく、月を間違える
・大切なものを保管した場所を忘れて、探し回るようになった
・待ち合わせの場所や日時を間違えるようになった
・電車やパスに乗るのを避けるようになった
・人つきあいが急に滅って出かけるのを嫌がるようになった



●認知症の原因とは

私たちは、思考したり、判断したり、人と会話したりしながら日常生活を送っています。このような生活に必要不可決な基本的な能力を認知機能といいます。認知症は、病気などの後天的要素によって、脳の働きが低下し、これらの認知機能が障害を受けて起こる症状の総称ととらえられています。
認知症の原因となる病気は多いのですが、その代表的なものがアルツハイマー病と脳血管障害(脳卒中)です。アルツハイマー病の場合は、残念ながら未だ原因が解明されていません。しかし、脳血管障害の場合は、病気を引き起こさないことが認知症の予防につながります。

●若年性認知症とは
認知症は高齢者特有の病気だと思われがちですが、実は若い人にも起こり得ます。一般的には、65歳未満の人が発症する認知症を若年性認知症といいます。その原因となる主な疾患には、脳梗塞や交通事故による脳障害があげられます。



●急激に増え続ける認知症

私たちの平均寿命は年々伸びています。せっかく授かった長寿であれば、生涯心身ともに健康でいたいもの。しかし、残念なことに、高齢になるとさまぎまな病気に見舞われます。そのなかで近年急増しているのが「認知症(痴呆症)」です。体がどんなに元気でも、痴呆が進むと自立した生活は営めず、介護を必要とするようになってしまいます。
現在、要介護(要支援)認定者の2人に1人が認知症の高齢者だともいわれています。今後も高齢化に伴ってその数は上昇し続けるでしょう。このことから考えても、認知症がけっして他人事でないことは明白です。たとえ、自分が認知症にならなくても、家族を介護することがあるかもしれません。ぜひ、身近な問題として考えてみてください。

●認知症高齢者数の推計
2007年(平成15年)の「高齢者介護研究会」(厚生労働省)の報告によると、2005年に推計で169万人とされた「なんらかの介護・支援を必要とする痴呆がある高齢者」が、2015年には約250万人、2025年には約323万人になるという予測が出されています。




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