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われわれは当たり前のように、公的医療保険によって医療を受けている。
そのせいか、医療費がどういう仕組みで、成り立っているのかについて関心を払わない人が多いようだ。
医療費の基本をよく理解することは、賢い患者への第一歩だろう。

Q1.健康保険の仕組みとは?

わが国では、「国民皆保険制度」によって、病気やけがをした場合は、医療費の一部を患者が負担すれば、医療機関で治療を受けることができるという仕組みになっている。
また、検査料や手術料といった医療サービスの料金は、厚生労働省によって「診療報酬点数」という形で定められている。
診療報酬は全国一律の公的な価格であるものの、同じ病気でも、治療、設備・機器、使う薬剤などが医療機関によって異なるため、支払い金額は変わってくる。


Q2.初診は診療所と病院のどっちに行ったほうが得か?

医療機関には大きく分けて診療所と病院がある。
入院施設(病床)がないか、病床数19床以下が診療所、20床以上あるのが病院だ。
では、病気やけがをした時、参療所と病院のどちらへ行ったほうが得なのだろうか。
まず、外来で治療を受ける際の初診料は、診療と病院では異なる。3割の自己負担で計算すると、診療所が820円で、病院が770円。
再診料は診療所が220円、200床未満の病院が170円、さらに200床以上の病院だと220円になる。
初診料(10円未満は四捨五入)
診療報酬点数 自己負担分(3割)
診療所 274点 820円
病 院 255点 770円
再診料(10円未満は四捨五入)
診療報酬点数 自己負担分
(3割)
診療所 73点 220円
病院(200床未満) 58点 170円
病院(200床以上) 72点 220円

金額だけ見れば、病院へ行くほうが安い。しかし、かぜや腹痛といったちょっと気になる程度の症状の場合などは、交通費や待ち時間の長さを考え合わせると、まず近所の診療所へ行ったほうが結果的には安くすむこともある。
「病院ならどこでも同じ」、「大きな病院の方が安心」と思っていると、思いのほか高い医療費を払うことにもなりかねないので気をつけたい。


Q3.検査の料金はいくら?

心身に何らかの不調を感じて医療機関を受診した場合、最初に行われるのは検査だ。日本の医療費は基本的に出来高払いで、どのような診療を受けるかで料金が変わってくる。
患者はちょっとしたかぜと思っていても、医師によっては隠れている病気を疑い、]線や血液検査を実施する場合がある。
多くの検査を受ければ、そのぶん加算されていく仕組みのため、主な検査の値段は知っておこう。
検査は医師が必要と判断したからこそ行われるものだが、過剰ではないかと疑問を感じたら、なぜその検査が必要かを医師に質問し、納得したうえで診療を受けることも大切だ。

主な検査の料金(「診療点数早見表」平成16年4月より)
内   容 診療報酬点数 自己負担分
(3割)
尿検査 検尿一般 28点 80円
糞便検査 潜血反応検査 9点 30円
血液検査 末梢血液一般検査(赤血球数、白血球数、血小板数など) 27点 80円
免疫学検査 クラミジア検査 70点 210円
インフルエンザウイルス抗原精密測定 160点 480円
画像診断 頭部・胸部・腹部・脊髄のX線撮影(単純撮影)写真診断+撮影 150点 450円
頭部の単純CT撮影 620点 1860円
頭部の単純MRI撮影 1140点 3420円
内視鏡 胃・十二指腸ファイバースコピー 1140点 3420円
大腸ファイバースコピー(S状結腸) 900点 2700円
超音波 胸・腹部の超音波(断層撮影法) 550点 1650円


Q4.大学病院の包括払いは従来の方式とどう違うの?

入院となった場合でも、従来は出来高払いを基本とし、受けた治療や検査などに応じた医療費の自己負担分を患者が支払うというシステムがとられてきたが、2003年4月から、全国の大学病院などでは包括払い方式がスタートしている。
包括払い方式とは、大学病院をはじめ国立がんセンターなどで取り入れられている医療費の算定方式で、入院基本料、検査、画像参断、投薬、注射、1000点未満の処置という医療行為を包括して評価するというものだ。
診断名がついたら、手術や処置の中身などによって1日当たりの点数が決まる。つまり料金は、診断群分類(DPC)ごとの1日当たりの点数×医療機関別係数×入院日数で算定される。
ただし、特定入院料、短期滞在手術基本料、指導管理料、リハビリテーション、精神病の専門治療、1000点以上の処置料、手術料、麻酔料、放射線治療などについては出来高払いのまま。
患者は、包括払い部分と出来高払い分の合計金額の自己負担分を支払うことになる。対象となる疾患はがんや心臓病、脳疾患などだ。

包括評価の算定のしくみ
入院基本料
検査(内視鏡検査を除く)
画像診断
投薬
注射
処置(1000点以上を除く)
医療機関別の包括評価
診断群分類ごとの
1日当たりの点数
×
医療機関別係数
×
入院日数
入院基本料などの加算
特定入院料
リハビリテーション(薬剤料を除く)
精神療法(薬剤料を除く)
手術・麻酔
指導管理
放射線治療
内視鏡検査など
1000点以上の処置
出来高評価

同じ大学病院でも、医療機関別係数の高い慶應義塾大学病院と同係数が低い名古屋大学病院の包括評価部分の医療費を比べて見ると・・・

1日当たりの点数×入院日数=100,000円の場合

●100,000×慶應義塾大学病院の調整係数(1.1817)=11万8170円(3割自己負担額3万5450円
●100,000×名古屋大学病院の調整係数(0.9676)=9万6760円(3割自己負担額2万9030円

差額6420円



日本医療企画「ホスピタウン」より



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