●花粉に過剰に反応し症状を引き起こす。
人間の体には、外部から侵入する異物に対して自分自身を守ろうとするシステム (免疫)が備わっている。この働きが過剰となり、かえって体に不利益な反応を引き起こす病気をアレルギーという。アレルギーの原因物質を「抗原(アレルゲン)」と言うが、花粉症は「花粉」を抗原とした疾患だ。まず、花粉が鼻や喉の粘膜などに付着し、ぞの成分(抗原)が体内に入る。体はこれを異物と認識し、免疫を担うリンパ球に伝える。するとリンパ球はこの物質を記憶し、排除する働きをするIg抗体をつくる。
Ig抗体は、肥満細胞と呼ばれる細胞の表面に付着し、再び同じ抗原が体に入り込んでくると結合する。その結果、肥満細胞からヒスタミンやロイトコリエンといった化学伝達物質が放出されて三叉神経や血管を刺激し、花粉症の症状を引き起こす。
●遺伝体質に環境の変化が作用。一番の大敵は睡眠不足。
花粉症になる人は、遺伝的にアレルギー体質を持っているが、環境要因も大きい。
スギ花粉症で言えば、まず花粉の量そのものが増加し、飛散量が増加しているのに加え、@排気ガスなどによる汚染大気中に含まれる微粒子の吸入、A高たんばく・高脂肪の食品摂取、Bダニやカピの温床になる通気性の少ない住居−といった現代の環境が、抗体の産生に拍車をかけている。
また、睡眠不足をはじめとする不規則でストレスの多い生活は、アレルギー反応を起こしやすくする。睡眠不足になると鼻の粘膜が乾燥しやすくなり、外界から雑菌などが侵入するのを防ぐ機能が低下し、花粉症を発症する下地となるほか、花粉症にかかっている人にとっては重症化の要因となる。
花粉症は、まさに21世紀の都市型文明病と言えるだろう。
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