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Q)ピロリ菌のことについて教えて下さい。

ピロリ菌のことについて質問します。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因の第一にあげられるものとして、この菌が大きくクローズアップされたことはまだ記憶に新しいですね。でも名前の由来とか、発見の歴史に関しては意外と知られていないと思います。日本人に特に感染者が多い菌であるとも聞きました。これは事実なのでしょうか。また予防するための手だてにはどのようなものがあるのでしょうか。
(33歳/男性)

A)先進国の中でも日本は感染率が際立って高い

胃は食べ物を消化するのに、強い酸性の胃液を出しており、とても細菌などが住める環境ではないと長い間信じられてきました。
ところが1979年、オーストラリアの病理学者ウォーレンは、胃炎を起こしている胃粘膜に「らせん菌」が存在していることを発見し、1982年にこの菌の分離と培養に成功しました。この菌は今まで見たこともない新しい菌で、ヘリコバクター・ピロリと命名され、1983年に発表され、世界中の注目を集めました。この名前の由来は、この菌がらせん状の形状をしている事から、「らせん」を意味するヘリコと、細菌を意味するバクターを組み合わせてヘリコバクターと命名されたもの。ピロリは胃の出口付近、幽門部を意味するピロルスに由来しています。つまり、「幽門部で見つかった、らせん状の細菌」と言うわけです。
このピロリ菌が、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となることが、近年明らかになって来ました。ピロリ菌の感染率は、国によって違い発展途上国で高く、先進国では低い傾向があります。しかし、日本は先進国の中でもピロリ菌感染率は際立って高いのです。ただし、年代別に感染率は違い、20歳台では2割、40歳台では5割、60歳以上では実に8割以上の方が感染しています。これは、40歳以上の方は、戦後の衛生状態が悪い時代に生まれ育ったためと考えられています。
予防としては、口から入って感染すると考えられますので、口移しで子供に食べ物を与えない、衛生状態の悪い国では水道水を飲まない等に注意すれば良いと思います。




Q)急性咽頭炎と急性扁桃炎を一緒に発症している、との診断を受けた。

急に39〜40度の高熱がでて、のどがひどく痛み、それに伴って全身がだるく感じ、あちこちの関節の痛みがあり、やがてそれが耳にまで広がるようになりました。医者に行ったところ急性咽頭炎と急性扁桃炎を一緒に発症している、との診断を受けました。そもそも扁桃とはのどのどの部分のことを指すのでしょうか。原因、治療法と併せて教えていただけると幸いです。
(31歳/男性)

A)免疫が機能しにくい際に大人でも強い炎症を起こすことがある

扁桃とひとことで言う場合、通常は口を大きく開いたときに見える、のどの両脇のリンパ組織を指すことが多いようです。これは正式には口蓋扁桃と呼ばれる部分ですが、医学的に扁桃と呼ばれるのはその他に、のどの上で鼻の奥にある咽頭扁桃(いわゆるアデノイド)や耳管扁桃、舌の奥にある舌扁桃などが存在します。これらいくつかの扁桃は、リング状にのどを囲む位置に存在し、ワルダイエルの咽頭輪と称されます。このようなリング状を形成している理由には、リンパ組織が鼻やのどからウイルスやばい菌が入ってくるのを監視する関所のような役割を果たすからであると考えられます。ことに子どものころには、こうした扁桃組織は、からだの免疫が十分に機能するために必要な組織と言われます。もっとも、大人になるころにはからだ全体の感染に対して強くなっているために、扁桃の免疫に頼らなくとも大丈夫なようです。
子どもが風邪をひいたときなどに、のどを痛めやすく扁桃に膿がつくのは、これら扁桃でばい菌を引き受け、そこを戦場としてばい菌と白血球が戦うためです。膿というのは、つまりばい菌と白血球の死骸ですから。大人がそうなりにくいのは、全身の免疫が働き、扁桃だけに負担がかからないためであると理解できます。
しかし大人でも、過労時や風邪っぽいときなど全身の免疫が機能しにくい際には、扁桃がばい菌を引き受けてしまい、強い炎症を起こすことがあります。
したがって大人で扁桃炎を予防するためには、過労を避ける、風邪気味のときには早めに抗生物質を服用するなどの心がけが必要となります。




Q)小児喘息について教えて下さい。原因と治療方法にはどのようなものがあるのでしょう?

知人の子どもが小児喘息にかかっています。呼吸が苦しく、ゼーゼーという呼吸音が聞かれ、せきもひどく出るのです。
これらの症状は夜間に起こることが多く、「苦しむ子どもがかわいそうで・・・」と、知人も疲労の極に達しているこの頃です。原因と治療方法につきまして教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。
(35歳/女性)

A)薬を勝手に止めたり量を調節するのは厳禁。必ず医師の指示に従って

喘息は、急な咳込み、笛声(ヒューヒュー)、喘鳴(ゼイゼイ)で始まる発作を繰り返す病気です。重い発作の場合には起座位になり、苫しそうに肩で息をします。顔色が悪くなり、会話もできなくなってしまいます。
喘息の原因としては、小児の喘息のほとんどはアトピー型喘息で、空気中に浮遊しているアレルゲン(アレルギーのもととなるもの)に対して過敏に反応する抗体を持っています。アレルゲンには室内塵、家ダニ、動物の皮膚、雑草の花粉などいろいろあります。アレルゲンを吸い込んだ場合、気管支の粘膜でアレルギー反応が起こり、分泌物(痰)が増え、気管支の壁が厚くなり空気の通り道が狭くなってしまいます。このためヒューヒュー、ゼイゼイといった喘息発作の症状が現れます。
喘息の治療ですが、喘息には軽い方もいますし、入院が必要な大発作を何回も起こす重症の方もいます。喘息の治療は、小児アレルギー学会で示されている重症度(表)によって治療法が選択されます。
ほとんどの喘息の方は、すでにかかりつけ医に診てもらっていると思います。必ず医師の指示に従って下さい。薬を勝手に止めたり、量を調節するのは厳禁です。
家庭でのご注意ですが、喘息の原因となるアレルゲンを少なくするための環境整備が大切です。可能であれば床は木のフローリングがよいと思います。カーペットや畳の場合には、まめに掃除を行って下さい。また湿度が高いと家ダニが繁殖しやすくなります。換気をよくしましょう。ソファなども布製より合成皮革製がよいでしょう。病気に負けない体力づくりも、とても大切です。運動、とくにスイミングは呼吸機能にもよい作用があると言われています。





日本医療企画「ホスピタウン」より



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