急に39〜40度の高熱がでて、のどがひどく痛み、それに伴って全身がだるく感じ、あちこちの関節の痛みがあり、やがてそれが耳にまで広がるようになりました。医者に行ったところ急性咽頭炎と急性扁桃炎を一緒に発症している、との診断を受けました。そもそも扁桃とはのどのどの部分のことを指すのでしょうか。原因、治療法と併せて教えていただけると幸いです。
(31歳/男性)
A)免疫が機能しにくい際に大人でも強い炎症を起こすことがある
扁桃とひとことで言う場合、通常は口を大きく開いたときに見える、のどの両脇のリンパ組織を指すことが多いようです。これは正式には口蓋扁桃と呼ばれる部分ですが、医学的に扁桃と呼ばれるのはその他に、のどの上で鼻の奥にある咽頭扁桃(いわゆるアデノイド)や耳管扁桃、舌の奥にある舌扁桃などが存在します。これらいくつかの扁桃は、リング状にのどを囲む位置に存在し、ワルダイエルの咽頭輪と称されます。このようなリング状を形成している理由には、リンパ組織が鼻やのどからウイルスやばい菌が入ってくるのを監視する関所のような役割を果たすからであると考えられます。ことに子どものころには、こうした扁桃組織は、からだの免疫が十分に機能するために必要な組織と言われます。もっとも、大人になるころにはからだ全体の感染に対して強くなっているために、扁桃の免疫に頼らなくとも大丈夫なようです。
子どもが風邪をひいたときなどに、のどを痛めやすく扁桃に膿がつくのは、これら扁桃でばい菌を引き受け、そこを戦場としてばい菌と白血球が戦うためです。膿というのは、つまりばい菌と白血球の死骸ですから。大人がそうなりにくいのは、全身の免疫が働き、扁桃だけに負担がかからないためであると理解できます。
しかし大人でも、過労時や風邪っぽいときなど全身の免疫が機能しにくい際には、扁桃がばい菌を引き受けてしまい、強い炎症を起こすことがあります。
したがって大人で扁桃炎を予防するためには、過労を避ける、風邪気味のときには早めに抗生物質を服用するなどの心がけが必要となります。 |