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Q)よくぎっくり腰になり痛みが取れない。予防や治療法を教えてください。

以前からぎっくり腰に悩まされ、激痛がはしり立っていられないことが稀にありました。家で静養していると徐々に痛みは消え、治ってくるのですが、1〜2週間、痛みが取れません。もし予防法があるならば教えてください。それと、最近は病医院にかかっていないので治療方法がよく分かりません。もし簡単に治る手段があるならば、ぜひ利用したいと思っているのですが・・・。
(52歳/男性)

A)安静が一番大切

ぎっくり腰とは、画像診断で原因がはっきりせず、下肢のしびれや痛みがない腰痛で、原因は筋肉や筋膜、靭帯、椎間関節、椎間板などいずれの障害によっても発生します。ぎっくり腰になってしまうと、何か動作した時に急に腰に激痛が走り動けなくなってしまいます。
しかし、予防はある程度可能です。「数目前から腰が重苦しくだるい」「腰に軽い痛みがある」「起床時腰が伸びづらい」「足がつる」「だるい」などの症状が少し良くなってきた頃に急に悪化するケースが非常に多いのです。
注意するポイントとしては8つあり、(1)朝方は急に動作をしない、(2)仰向けに寝る時は膝に枕を敷いて膝を曲げた状態で、下肢、腰を曲げて横向きに寝る、(3)中腰はできるだけ避け、背筋をのばし、膝を曲げて持ち上げる、(4)あまり重い荷物は持たない、(5)急に動く時はいすの肘宛、机、壁などを手で支えてから動作に移る、(6)入浴で症状が軽くなる時は腰を暖める。痛くなる時は逆に冷やす、(7)長時間の同じ姿勢はなるべくとらない、(8)日頃から水泳、ストレッチ、腰痛体操などで腹筋、背筋力を強化し減量する−となっています。
他方、治療はまず安静が一番です。激痛は通常2〜3日で軽減しますが、症状は1〜2週間続く場合が多いようです。腰にさらし布を巻いたり、簡単なコルセットの着用も症状を軽くします。加えて内服や外用の消炎鎮痛薬の使用、圧痛点に局所麻酔薬と少量ステロイド混合液の注射も、痛みの軽減には有効です。さらに症状が強い場合は、硬膜外ブロックをお勧めします。
局所麻酔薬の持続時間は2時間程度ですが、痛みがなくなると同時に障害粗織周辺の血液循環を改善し、組織の修復を助けます。椎間関節に障害がある場合はX線透視下で行う椎間関節ブロックが極めて有効です。
ベインクリニックや麻酔科を標榜している医療機関は、全国に少数ですが、神経ブロックを専門としています。



Q)突然起こる下痢や嘔吐。急性腸炎ってどんな病気ですか?

突然起こる激しい腹痛に悩まされています。下痢や嘔吐の症状を起こすことが多く、病院で受診したところ急性腸炎ですと言われました。下剤や飲み薬で一時的な解消はするのですが、下痢は頻繁に起こします。トイレに行けば治るのですが・・・。急性腸炎とはどのような病気なのでしょうか?また、頻繁に起こる下痢にはどのような原因が考えられるのでしょうか?
(30歳/男性)

A)腸炎とは、腸の炎症性疾患で腹痛と下痢を呈します

下痢とは、種々の原因で小腸、大腸での水分や電解質の吸収障害、分泌亢進により、内容物(大腸では便)の腸内通過が早くなり、液状ないしこれに近い便を頻回に排泄することをいいます。
下痢を起こす疾患は、感染性のものと非感染性のものとに分けられます。感染性の下痢は、病原性の微生物によって起きる下痢で、一過性のものです。一方、非感染性の下痢には、食べ過ぎ、食物アレルギー、ソルビトール摂取、乳糖不耐症などがあります。
また、腹痛は内臓痛と体性痛に分けられ、内臓痛は灼熱痛で不快な鈍痛や差し込むような疼痛発作が感じられます。主に、消化管の平滑筋の収縮、拡張、伸展、臓器の牽引などに認められ疼痛は非限局性となります。周期的、間欠的にみられ、迷走神経の刺激症状として、除脈、血圧低下、唾液増加、悪心、嘔吐が起きることもあります。この種の痛みを起こすものは、胃炎、胃十二指腸潰瘍、胆石症、急性腸炎などがあります。それに対して、同じ腹痛の体性痛は、壁側腹膜、腸間膜、横隔膜の物理化学的刺激によって起こり、限局性で疼痛部位を明確に指摘することが可能です。突き刺すような鋭い痛みで持続性があることが多いのです。したがって、痛みの寛解期はありませんし、体を動かせば痛みが増すので、体を動かさないようにします。
腸炎とは、腸の炎症性疾患を総称する言い方で、症状としては、腹痛と下痢を呈します。2週間以内に炎症が治まるものを急性腸炎といいます。つまり、急性腸炎とは、腹痛や下痢などの症状を呈する疾患すべてを総称したもので症候群と言えるのです。その原因には、過敏性腸症候群などがありますが、悪性なものによる場合もあるので、まずは病院での精密な検査を受けることをお勧めします。



Q)歯みがきを欠かしていないのにむし歯が・・・むし歯ができやすい人はいるの?

私は、毎日3回の歯みがきは欠かさずに行っています。朝、昼、晩、いずれも食後に行い、夜の歯みがき後は何の食べ物も□にしません。しかし、むし歯は毎年のようにできてしまいます。毎日みがいているのになぜ?と不思議でしょうがありません。一方、あまり歯みがきをしない方でもむし歯になりにくい人がいるとか・・・。むし歯になりやすい人、なりにくい人はいるのでしょうか?それはどこが違うのでしょうか?
(24歳/女性)

A)バイオフィルムの除去、口腔内細菌のコントロールが大切

口の中には、全部で約300種類の口腔内常在菌が存在しています。人によって菌の種類や数に違いはありますが、特にむし歯菌と呼ばれるミュータンス菌がむし歯の発生に大きく関与しているのです。
私たちが日ごろ、歯みがきを丁寧に行ったとしても、歯ブラシだけでは全体の6〜7割程度しか、みがけていないという報告があります。そこで、歯ブラシの補助器具として、デンタルフロスや歯間ブラシ、または染め出し剤を用いることをお勧めします。しかし、歯の表面や歯周ポケットの中に常在菌の巣が残っている場合、バイオフィルムと呼ばれる汚れの膜が形成され、この中で細菌が酸を産生し、水素イオン濃度(pH)が、5.4以下になると歯の表面が脱灰を始めます。これが俗に言うむし歯の発生です。
毎日、朝、昼、晩の食後に3回の歯みがきを行い、歯みがき後は何も食べていないとのことですが、このバイオフィルムの除去、すなわち口腔内細菌のコントロールが出来ていなければ、むし歯が発生してしまう可能性が高いのです。治療法としては、歯科医院で通常行われている歯石除去やブラッシング指導のみではなく、最近ではPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・テゥース・クリーニング)と呼ばれる方法があります。この治療法は、歯の表面のバイオフィルムを除去することを目的としています。また、PCTC(プロフェッショナル・ケミカルニアゥーース・クリーニング)と呼ばれる治療法では、歯周ポケット内の細菌の数をコントロールすることを目的としています。
このような最新の治療をかかりつけの歯科医院で定期的に受けることが、むし歯を防ぎ歯周病を予防する近道でしょう。




日本医療企画「ホスピタウン」より



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