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人生の折り返しを過ぎる頃になると、ガンや生活習慣病などが気になりはじめます。しかし日の病気にまで気を配る人は少ないようです。
ここでは加齢に伴う目の疾患の代表である白内障と緑内障を取り上げます。



●正常な視覚のメカニズム

目の病気について考える前に、目が正常に働いているときの状態を知りましょう。私たちが日頃どうやってものを見ているのかを理解するには、カメラのしくみを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
目に入った情報は、視神経によって脳に伝達され、そこで処理されてはじめて映像として認知されます。目が感知しているのは絵ではなく光なのです。
まず、角膜(フィルター)を通って目の中に入ってきた光は、水晶体(レンズ)を通るとき屈折して網膜(フィルム)に像を結びます。このとき光の量に応じて毛様体(ピント)と虹彩(絞り)の自動調節機能が働き、瞳孔の大きさが変わるのです。
また、角膜と水晶体の間では房水という液体が生成され、古くなると排出されています。房水は、眼圧を一定に保つために絶えず循環しているのです。
では次に、白内障と緑内障について個別に見ていきましょう。


白内障 緑内障
目の中でカメラのレンズの役目を果たしている水晶体は、通常透明で光を正常に通過させます。この水晶体がにごってしまい、光の通りが悪くなってものがよく見えなくなるのが白内障です。 網膜上に結ばれた像の情報は、視神経を通って脳に伝達されます。この視神経に以上が起こり、視力や視野が悪くなるのが緑内障です。一般的にはそのメカニズムによって分類され、主なものとして閉塞型緑内障、開放型緑内障があります。

原因 一番多いのが老人性白内障と呼ばれるもの。これは、年をとると白髪やシワが増えるのと同じ老化現象のひとつです。白内障には、このほか先天性のものや糖尿病やアトピー性皮膚炎の合併症として現れるものなどがあります。また、目の外傷やステロイド剤の長期使用によって引き起こされることもあるようです。 目の中を循環している房水は古くなると角膜と虹彩の間から排出されます。この排水口や排水管にあたる部分が詰まって房水の流れが悪くなると、眼圧が上昇し、視神経がつぷれてしまうのが緑内障の原因です。これ以外に、目の炎症や悪性腫瘍など他の疾患が引き金になって症状が現れる場合も多いようです。排水口が詰まるタイプを閉塞型緑内障、排水管が詰まるタイプを開放型緑内障といいます。このほか、眼圧に異常が見られないタイプもあるようです。
症状 白内障はゆっくりと進行します。初期には、まず近視や乱視の兆候が現れます。水晶体が濁りはじめると、光を乱反射するため、まぶしさを感じて屋外でものが見づらくなることもあります。最も多い症状が目のかすみで、水晶体の濁りがひどくなるにつれ、かすみ具合も進みます。さらに進行すると視力が低下して日常生活に支障をきたすようになります。白内障だけで失明することはありませんが、他の病気を併発した場合は注意が必要です。 閉塞型緑内障で急性の場合、急に目が痛くなって充血し、ものが見えにくくなります。そのまま放っておくと、目がかすんだり、頭痛や吐き気を伴うようになり、最悪の場合失明の恐れもおります。慢性の場合は、視野が狭くなったり視力が下がったりします。しかし、ほとんど自覚症状がないまま進行してしまいます。開放型緑内障はまれに肩こりなどの症状が現れるケースがありますが、大半が無症状で、視野が欠けたことにもすぐに気づかない場合が多いといわれます。
治療 まず点眼薬が使われます。しかし、これは白内障を治すことを目的にしているのではなく、進行を少しでも遅らせるための処置です。現時点では残念ながら濁ってしまった水晶体を透明にもどす薬はありません。そこで、濁った水晶体を取り出して眼内レンズ(人工のレンズ)を挿入する手術をすることになります。この手術は短時間で終わる安全なものだということです。 閉塞型緑内障の場合、まず房水の排水口を閉じている虹彩に穴をあけるレーザー治療が行われます。それでも眼圧が下がらないときは、点眼薬や内服薬が処方されます。一方、開放型緑内障のケースでは、最初に眼圧を下げる点眼薬が使われ、内服薬を併用しても症状が改善されないときにレーザーでの治療が施されます。ただし、眼圧の上昇によってつぶれて損傷した視神経が回復することはありません。早期発見、早期治療が大切なので、定期的に眼圧などの検査を受けるようにしましょう。

白内障・緑内障の予防
2004年10月、赤ワインが白内障の予防に有効だという研究結果が報告されました。しかし、確固たる予防法はないのが現状のようです。現段階で私たちにできることは、紫外線を避け、タバコやお酒を控えて、目に良いといわれる食品やサプリメントを摂るよう心がけることでしょう。




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