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肉食中心の欧米型の食生活にもかかわらず、フランス人に心筋梗塞が少ないのはワインを飲む習慣からくるものだといわれます。
そう指摘されて以来注目されている「ポリフェノール」について見ていきましょう。



●ポリフェノールの機能と生活習慣病対策

植物の細胞を生成したり活性化するのを助けるのが本来のポリフエノールの役目ですが、人の体に取り込まれたあとも、抗酸化物質として、健康維持や生活習慣病の予防などに有効なことが明らかになっています。
抗酸化作用のほかに注目されている機能性については、抗アレルギーや抗動脈梗化、抗ガンなどがあり、これらに関してさまぎまな研究が行われています。
すでに市場には、健康食品や食品添加物、サプリメントなどとして、数多くのポリフェノール製品が出回っており、話題鹿先行の感が否めないのが実情でしょう。
ポリフェノール製品を選ぶときは、まだまだ研究開発の途上にある成分も多い点を考慮して、慎重に取拾選択をしたいものです。



●主なポリフェノールとその働き
■赤ワインのポリフェノール
ワインには、アントシアニン、フラボノイド、カテキンをはじめ、カテキンがいくつもつながった分子の大きなタンニンなど、多くのポリフェノールが含まれる。その量は飲み物のなかでは突出して多い。これらポリフェノールが活性酸素の働きを抑え、動脈硬化を防くといわれる。
■緑茶のポリフェノール
二本のお茶所に住む人たちに胃ガンによる死亡者が少ないという調査結果が出されて以来、緑茶の研究が進められた。その結果、緑茶のカテキンにはビタミンEの約20倍もの抗酸化力があり、細胞の突然変異と悪性腫瘍化を抑えることが確認され、ガンの発生・増殖制御効果が期待されている。
■大豆のポリフェノール
性ホルモンが影響しているといわれる乳ガンや前立腺ガンは、欧米人より東洋人に少ないことから、食生活との関連が調査された。その結果大豆食品を摂る量が多い人ほど罹患率が低いことが明らかになった。なかでも、イソフラボンには抗エストロゲン作用や抗参加作用があり、乳ガンや前立腺ガンなどを手防する働きがあるといわれる。
■そばのポリフェノール
そばにはルチンというポリフェノールが豊富だ。ルチンには血管を強化する働きあり、すでに血管補強剤などの医薬品として、動脈硬化や狭心症、高血圧や脳梗塞のほか糖尿病などの治療にも使用されている。血圧が気になる人にはそば茶がおすすめ。なかでも韃靼(だったん)そばには普通のそばの約100倍のルチンが含まれているといわれ、韃靼そば茶は健康茶として人気を呼んでいる。




●健康促進に効果が期待されるポリフェノールって何だ?

ポリフェノールは、植物が光合成を行う過程でつくられる色素や苦味、渋味の成分で、必須アミノ酸の一種であるフェニルアラニンから生合成されるものです。酸化・還元などさまざまな化学反応を経て合成されますが、主なものだけでも300種類以上あり、その総数は数千種類にも上るといわれています。
つまり、ポリフェノールは植物性の食品ほぼ全部に含まれる成分ですが、構造や含有量はさまぎまということです。もちろんひとつの食品に複数のポリフェノールが含まれているケースもあります。
では、ポリフェノールにはどんな種類があるのでしょう。一般にもよく知られている代表的なものには、赤ワインや緑茶に多く含まれるカテキンのほか、ウーロン茶のウーロン茶ポリフェノール、大豆のイソフラボン、果実や花の色素であるアントシアニンなどがあります。


●代表的なポリフェノールとそれを含む主な食材
・アントシアニン・・・ぶどう、ブルーベリー
・カテキン・・・緑茶、赤ワイン
・ウーロン茶ポリフェノール・・・ウーロン茶
・イソフラボン・・・大豆
・カカオマスポリフェノール・・・ココア、チョコレート
・テアフラビン・・・紅茶
・クロログン酸・・・コーヒー
・クロクアミン・・・ウコン
・セサミノール・・・ごま
・ルチン・・・そば




●「フレンチ・パラドックス」とポリフェノールの関係

昔からフランス人は脂肪分の多い肉料理やバターなどを多く摂取しているのに、他の欧米諸国に比べて動脈硬化症が引き起こす虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)による死亡率が際立って少ないという事実があります。
この矛盾は長いあいだ「フレンチ・バラドックス」と呼ばれ、多くの専門家が研究を重ねてきました。その結果、フランス人が水の代わりにというくらいたくさん飲んでいる赤ワインに関係していることが判明。赤ワインに含まれるポリフェノールに抗酸化作用があり、動脈硬化を防いでいる可能性が高いと指摘されたのです。
これがマスコミでも大きく取り上げられたのをきっかけに赤ワインブームが起きたのは記憶に新しいところ。それ以来「ポリフエノール」という言葉が広く世間に知られるようになり、ココアや緑茶、ブルーベリーなどをはじめとするさまざまな食材に含まれるポリフェノールの効能が注目されるようになりました。




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