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この10年、オフィスはもちろん家庭にもパソコンが普及しました。
それに伴い、長時間パソコンに向かう職業の人を中心に「パソコン病」に悩まされる人が急増しています。ここではその原因と対策を紹介します。



●パソコン病っていったい何だ?

ここ何年かで「パソコン病」という言葉をよく見聞きするようになりましたパソコン病は正式には「VDT障害」といわれます。ちなふにVDTとはディスプレイ端末機の英語の略で、パソコンのこと。つまり、パソコン病とは、パソコン作業をすることによって引き起こされるさまぎまな症状の総称なのです。




●パソコン病の症状および原因・対策

パソコン病の代表的な症状には、疲れ目、肩こりや頭痛、腱鞘炎などの肉体的なものと、ストレスからくるイライラ感や不安感などの精神的なものがあります。
パソコン病は、さまぎまな原因が絡みあい、肉体的な症状と精神的な症状が相互に影響しあっているので、これさえやっていれば解消できるという対策はありません。また、医学的見地からの研究は途上段階なので、はっきりした原因が解明されていない部分もあります。
ここでは、パソコン病の肉体面の主な疾病を取り上げ、原因と対策を見ていきましょう。




首・肩・腕のトラブル!

■頚肩腕症候群の症状
頚肩腕症候群は、一般的には、40代以下の人が発症した場合は「頚椎椎間板ヘルニア」、50代以上の人が発症した場合は「変形性頚椎症」と呼ばれている疾患です。
首から肩、腕にかけて痛みやしびれが出たり、違和感を感じたりします。初期の頃は腕の感覚がなんとなくおかしいと感じる程度ですが、症状が進行すると、腕や手を思うように動かせなくなります。さらにひどくなると、手の指がカギ形に曲がってしまうケースもあります。


頚肩腕症候群のチェックポイント
・肩こりがひどい
・首から肩にかけて痛みや違和感がある
・腕がだるい
・腕が痛い
・腕や手の指がしびれる
・手先が冷える
・手に力が入らない

●頚肩腕症候群の原因
長時間同じ姿勢でキーボードを打ち続けたり、マウスを多用したりすると、首の筋肉が緊張し、血行が悪くなってしまいます。筋肉の緊張によって堆間の穴から出た神経根が圧迫されると、首、肩、腕に痛みが生じるのです。

●頚肩腕症候群の対策
予防の基本は、同じ姿勢を長時間続けないことです。パソコン作業の合間に休憩をはさむようにしましょう。休憩のときには、首や腕のストレッチをしましょう。肩甲骨周辺の筋肉をほぐすことも大切です。
市販のアームレストを使うと腕の負担が軽減されるので、子防アイテムとしておすすめです。




手首・指のトラブル!

■手根管症候群の症状
親指の内側半分、人差し指、中指、薬指の内側半分と、これら4本の指の付け根あたりの手のひらに痛みやしぴれが出たり、指先がピリピリするのが特徴です。就寝時も痛みに悩まされることがあります。進行すると、親指と小指をくっつける動作がしにくくなります。


●手根管症候群の原因
手首の手のひら側にある手根管には、正中神経という小指以外の4本の指に伸びている神経が通っています。キーボードを打ち続けたりして、手首の関節を動かす筋肉を酷使すると、腱が太くなって神経を圧迫し、痛みやしぴれの症状が現れます。

●手根管症候群の対策
基本的には、手首を酷使しないことです。症状が出てしまって、痛みが激しい場合は、手首の関節をギプスやテーピンクで固定して、手首が動かないようにしてしまうのが一番です。
キーボードを打つときには、市販のリストレストを使うと、手首にかかる負担が少なくなります。



■ドゥケルバン腱鞘炎の症状
手首の伸筋腱(指を伸ばす腱)の炎症で、タオルを絞ったりすると、手首の親指側が痛みます。また腫れや熱を伴うこともあります。


●ドゥケルパン腱鞘炎の原因
親指には何本もの腱がありますが、そのなかの短母指伸筋腱(親指を伸ばす腱)と長母指外転筋腱(親指を広げる腱)は、手首の親指側の腱鞘の中を通っています。親指を酷使すると、この腱鞘内で腱がスムーズに動かなくなり、炎症を引き起こしてしまうのです。

●ドゥケルパン腱鞘炎の対策
腱鞘炎の治療の基本は、原因となっているパソコン作業をできるだけ避けて、炎症部位を安静に保つことです。包帯で固定すると痛みが軽減されます。腫れや熱を伴っている場合は、冷湿布などで患部を冷やしましょう。
腱鞘炎の予防には、グルコサミンのサブリメントが有効だといわれています。




目のトラブル!

■眼精疲労の症状
眼精疲労は、疲れ目が進んだ症状で、目の痛みや充血などを伴います。また、目以外の症状として、頭痛や肩こり、便秘のほか、イライラ感がつのったりして精神的に悪影響を及ぼすこともあります。自覚症状が出たら要注意です。


●眼精疲労の原因
長時間パソコン作業をしていると、目に疲労が蓄積してしまいます。画面をずっと見続けていると、毛様体筋(目の焦点を合わせる筋肉)が緊張しっぱなしの状態になるからです。
また、パソコンの画面に日光や蛍光灯の光が映り込んだり反射したりすると、テキストや画像を読み取るときの目の疲れがひどくなります。

●眼精疲労の対策
パソコン作業の合間に定期的に休憩をとることが大切です。50分作業したら10分休むのを目安にすると良いでしょう。次に、緊張した毛様体筋を休ませ、目のまわりの血行を良くするために有効な方法をあげてみましょう。


・遠くを見る
休憩中は画面から目を離し、5メートル以上遠くを見るようにしましょう。毛様体筋が弛緩して、緊張が解けるので、目の疲労を回復させることにつながります。
・眼精疲労用の目薬を差す
目が疲れたなと感じたら、疲れ目や充血用の目薬を差しましょう。疲れがひどい人は、休憩時に差す習慣をつけたほうが良いかもしれません。
・目を冷やしたり温めたりする
水に浸したあと電子レンジで温めたハンドタオルと冷蔵庫で冷やしたハンドタオルを用意し、交互に目にあてます。市販のアイパックやアイピローを使うと便利です。ハーブや自然塩などを配合したものなど、リラックス効果を追求したさまぎまな商品が開発されています。
・パソコンの設置環境を考える
パソコンを設置するときは、日光が直接画面に当たるような窓際や、蛍光灯が背面に映り込んでしまうような場所を避けましょう。手元を室内の明るさと同じにすることも大切です。


眼精疲労のチェックポイント
・目がかすむ
・まぶたが重い
・まぶたが痙攣する
・視力が下がる
・目が痛む
・目の奥が痛む
・目が充血する
・頭痛がする
・目が乾燥する
・肩がこる

●眼精疲労の解消に有効な主な栄養素

アントシアニン

紫色の色素をもつ植物に含まれているポリフェノールの一種で、抗酸化力が強いのが特徴。視力や視点調節機能を改善する効果がある。ビルベリー、ブルーベリー、黒豆、紫いもなどに含まれている。

ビタミンA

皮膚や粘膜を丈夫にしたり、目の機能を正常こ保って、視力を維持する働きがある。レバーやうなぎなどに多く含まれる。

ビタミンB1

疲労回復効果がある。豚肉やゴマなどにたくさん含まれている。

ビタミンB2 不足すると目が充血したり、異物感を感じたりする。光をまぶしく感じることもある。レバーや乳製品、納豆や卵などに多い。



■ドライアイの症状
パソコン作業が続くと、画面を凝視し続けることになります。そうするとまばたきの回数が少なくなって涙の分泌量が減少。目の表面が乾くのはもちろん、眼精疲労と同じく、充血したり、かすんだりします。


ドライアイのチェックポイント
・目が乾性する
・目がかすむ
・目が疲れやすくなる
・目が充血する
・目こ不快感がある
・目がゴロゴロする

●ドライアイの原因
まず、エアコンを使っている室内では空気が乾燥します。そのため涙が蒸発して、目が乾いてしまいます。このほか、ディスプレイの設置の仕方に問題があることも。パソコン画面が真正面や見上げるような位置にあると、瞳の露出面積が大きくなるので、乾燥がひどくなるのです。

●ドライアイの対策
ドライアイを防ぐためには、まず目を乾燥から守ること。そのためには、パソコンを快う室内の環境や設置場所などにも気を配りたいものです。
次に、具体的な予防策をあげてみましょう。

・ドライアイ用の目薬を差す
目の乾きを防ぐには目薬はとても効果的です。目に潤いを与えるのはもちろん、目の疲れも同時に解消することができるでしょう。
・まばたきをする
まばたきは目の潤いを保つのに欠かせません。しかし、パソコン作業中はまばたきの回数が減ります。意識してまばたきするよう心がけましょう。
・加湿器を設置する
パソコン作業をする室内には加湿器や保湿器などを置いて、適度な湿度を保つようにしましょう。
・デイスフレイの位置に気を配る
パソコン画面を斜め下に見るようにディスプレイを設置するのがベストです。傾けて設置できるパソコンデスクも市販されています。



最後にひとこと
各項目に共通のことですが、数日たっても症状が改善しない場合は、眼科や整形外科など、専門医の診断を仰ぎましょう。でも、手術はもちろん、できることなら薬や注射も避けたいもの。日頃の生活のなかで予防につとめたり、症状の軽減につながるような努力を怠らないようにしましょう。




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