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1日中立ちっぱなしの仕事をしている多くの人が抱えている問題が腰痛。そして、特に多くの女性を悩ませているのが足のむくみです。
そこで、これらの症状が軽減されるような対処法や予防法を紹介します。



●職業病といわれる腰痛・脚のむくみ

パソコンオペレーターの鍵梢炎のように、職場の労働条件や環境などが原因で体になんらかの症状が出る場合、一般にはそれを”職業病”と呼んでいます。
そのなかで最もポピュラーなのが、立ち仕事が大半を占める仕事や外回りで1日中歩き回っている職業の人に多い腰痛と脚のむくみではないでしょうか。
デパートの販売員やスーパーのレジ係のように立ったままで接客している人、営業職で歩き回っている人の大半は、腰痛や脚のむくみに悩まされているといわれます。このほか、看護士や介護士のように、動き回っている一方で、患者さんを抱えたりしてケアするような職業の人にも多いようです。
それでは、これらの立ち仕事が多い人の悩みの種である腰痛と脚のむくみについて、その原因と対策を見ていきましょう。



腰痛

■腰痛の原因
腰痛といえば、神経が圧迫されることによって起こり、しびれや鈍重感を伴う腰椎椎間板ヘルニアなどがよく知られています。これに対し、腰椎などに異常が見られないケースが、立ち仕事など長時間同じ姿勢でいる人に多い腰痛で、「筋・筋膜性腰痛」と呼ばれているものです。
筋・筋膜性腰痛は、腰の筋肉や筋膜に負担がかかりすぎて起こる腰痛症です。地面に対して垂直に立った状態では、上半身にかかる重力がすべて背骨にかかります。立ち仕事などで、この状態が長く続くと、背骨がこの重力に耐えかねて悲鳴をあげ、腰への負担が大きくなって痛みを感じるようになります。
前かがみになると、上体を引き戻そうとする力が働くので、腰にかかる負担はさらに増えます。中腰で仕事をする人に腰痛が多いのはそういう理由からです。

■腰痛の対策
立ち仕事の人に多い腰痛は、職場の環境や生活習慣、年齢や性別などが複雑に絡み合って発症するので、対処法も人それぞれ。もちろん、激しい痛みがあるときは安静が第一なのはいうまでもありません。ここでは、少しでも症状をやわらげるための基本的な対処法と予防法を紹介します。

1)入浴で血行を良くしよう。
湯船につかると、お湯の浮力によって腰にかかる負担が軽減されます。また、入浴で体が温まると、血液の循環が良くなって腰の痛みがやわらぎます。腰痛の緩和に効果的なお湯の温度は38〜40℃。ぬるめのお湯は、筋肉の緊張をときほぐしてくれるだけでなく、リラックス効果も期待できます。

2)正しい姿勢を保とう。
同じ時間立っていても、姿勢が悪いと筋肉などに余計な負担がかかるため、腰痛もひどくなります。腰痛対策は、まず正しい姿勢から。両脚の踵を合わせ、つま先を外側に開いた状態で、軽くあごを引いてまっすぐに立ちましょう。頭のてっぺんが真上に引っぱられるイメージで、背筋をピンと伸ばしてください。

3)腰に負担がかからない工夫を。
長時間同じ姿勢でいることはなるべく避けましょう。たとえば、炊事のときは、調理台の前に足台を置き、片脚を交互に乗せて行うなどの工夫を。作業をするときは、前かがみにならないよう、作業台の高さを調整したりして、作業環境を整えることも大切です。仕事の合間には体操などで、全身を動かすことも忘れずに。また、靴にも気をつけたいもの。ハイヒールは腰に大きな負担をかけるので避け、歩くときに腰への衝撃が少ない靴を選ぶようにしましょう。

4)水中で筋力をアップしよう。
腰痛の要因のひとつとして運動不足による筋力の低下が指摘されています。しかし、腰痛が持病の人は、運動をするとかえって症状を悪化させてしまうケースも多いようです。そんな人には、プールで水泳や水中ウォーキングをすることをおすすめします。これらの運動は、水の浮力のおかげで腰にかかる負担が少ないだけでなく、水の抵抗があるため、筋力を強化するのにも最適なのです。

5)腰の筋肉をサポートしよう。
安静が一番とわかっていても、腰が痛いからといって、簡単に仕事を休むわけにはいかないのが現実です。そんなときは、腰痛を軽減してくれる腰用のサポートベルトやコルセットが役に立ちます。ただし、これらは、根本的な解決策にはならないので、最小限必要なときだけ使うようにして、頼りすぎないようにしましょう。




脚のむくみ

■脚のむくみの原因
立ち仕事をしている人のなかでも、特に女性に多いのが脚のむくみです。脚のむくみは、疲労が蓄積して脚の筋肉が硬くなり、血波の循環が悪くなって起こります。女性は男性に比べて筋力が弱いために、疲労がたまると、血液を心臓に戻す助きが弱くなってむくみが出やすいといわれています。また、女性に冷え症が多く、血行不良を引き起こしやすいのもひとつの要因でしょう。
夕方になると脚がむくんで靴がきつくなったと感じる女性が多いのはこのような理由からです。

・むくみのメカニズム
体内では、血漿成分が血液中の栄養分や酸素を各器官の細胞に運んでいます。その役目を終えた血漿成分は、通常血管内に戻っていきます。
しかし、同じ姿勢でいると脚の静脈に血液が滞って血管内の圧力が高くなり、血漿成分が血管に吸収されなくなります。そうすると、血管の外に血漿成分がたまってしまい、それがむくみを引き起こすのです。

■脚のむくみの対策
脚の筋肉に疲労がたまって血液循環が悪くなるのが脚のむくみ。体の同じところに負担がかかると疲労がたまりやすくなるので、まずは、姿勢をできるだけ変えることです。
そして、仕事の合間にはストレッチなどで体を動かして、筋肉の緊張をほぐすようにしましょう。
また、血行を良くするためには、足湯がおすすめ。お湯をバケツや洗面器に入れて脚を温めたあと、患部をマッサージすると効果的です。
まず、筋肉の疲労をとるために患部を十分休ませること、そして、血行を良くするために温めること。この2つが脚のむくみを解消する基本的な方法です。脚の指を縮めつけるような靴をはくのも避けましょう。

●主な脚のむくみ解消アイテム
・フットマッサージ機
脚をもみほぐすだけでなく、指圧機能や振動機能で足裏を刺激して血行を促す足専用のマッサージ機。脚のむくみやだるさを取り除いてくれます。
・フットバス
足湯にプラスαの機能がついたのがフットバス。バイブ機能やバブル機能は、脚に刺激を与えて筋肉をほぐし、血行を良くするのに有効です。
・圧迫機能付きソックス
足首からふくらはぎにかけてだんだん圧力が弱くなるように設計されたショートストッキングタイプのソックス。筋肉の動きを助けて滞った血液を押し戻し、血行を良くします。
・医療用シューズ
兄裏のアーチをサポートし、ミッドソールの凹凸がむくみを軽減するよう設計された軽量シューズ。疲れにくく、腰への負担も少ないのが特徴です。
・ジェル素材のインソール
歩くときの衝撃をやわらげるジェルを使ったインソール。このジェルが土踏まずをサポートし、むくみを予防します。




●油断できない腰痛・脚のむくみ

腰痛や脚のむくみという症状が現れた場合、どうせ職業病だからと安易に決めつけて放置するのは危険です。腎臓ガンや膵臓ガンなどの病気を患っているために腰痛が起こることもあるからです。
たとえば、立ち仕事が原因の腰痛は、体を反らすと痛みがあるけれど、前かがみになると痛みが薄れるというように、姿勢によっては痛みがやわらぎます。一方、どんな姿勢をとっても痛みから解放されない場合は、病気が原因だと考えられます。症状としてむくみが現れる病気も、腎不全や急性腎炎をはじめ、意外に多いのです。
むくみが脚だけでなく顔や他の部位にまで広がった、いつまで経っても疲れがとれないときなどは要注意。発熱や湿疹などの症状を併発した場合も気をつける必要があります。
腰痛も脚のむくみも、症状がなかなか改善されないときや悪化した場合は、自分で判断せず、一度医師の診断を受けましょう。




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