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2004年(平成16年)厚生労働省「地域におけるうつ対策検討会」の報告によると、生涯で日本人の15人に1人は「うつ病」を発症しているそうです。
私たちの身近な問題となったうつ病について考えましょう。



●年代別に見るうつ病の特徴

うつ病は、誰にでも、一生のうちどの時期にも起こり得る身近なな病気。日頃から自分自身や家族の心の状態に気を配りたいものです。

■少年期
子どちがうつ状態になると、活動範囲が狭くなります。外で友達と遊ばなくなるだけでなく、家で好きなゲームさえしなくなって、ぼんやりしている時期が増えます。怒りっぽくなるほか、不眠や食欲の減退も特徴です。
■青年期
中・高校生の登校拒否やひきもりの多くはうつ病が引き金になっているといわれます。思春期の多感な時期だけに、成績や体型などの他人との差が挫折感や劣等感につながり、うつ病に陥るケースが多いようです。
■成人期
自由気ままな学生生活から社会に出て働くようになると、急激な環境の変化によってストレスが生まれます。理想と現実のギャップにうまく対応できなかったり、職場で円滑な人間関係を築けなかったりして、悩みを抱え込んでしまうと危険です。
■中年期
嬉しいはずの昇進も、責任感が強すぎると重圧を感じてしまうもの。職場での上司や部下との人間関係、家庭での子どもの反抗期など、ストレスの種は尽きません。この年代に多い専業主婦のアルコール依存症は、うつ病の危険信号だといわれます。
■熟年期
リストラや定年退職による生活の激変に対処できないとうつ病になる危険があります。肉体的な衰えや老後の不安のほか、身内や知人の死が引せ金になることも。女性の場合は更年期障害によって心身のバランスを崩すケースが多いようです。
■老年期
穏やかな老後の生活は必ずしも精神の安定に結びつきません。仕事一筋だった人ほど、定年後心にぽっかりと穴かあいてしまうようです。時間をもてあます毎日が続くと、孤独感が深くなって、うつ病にかかる場合もあります。

●SRQ−Dうつ病危険度チェック
SRQ-D(東邦大学式抑うつ尺度)は、他のうつ病を発見する手がかりとなる簡単な自己診断テストです。次の18の質問に答え、当てはまる項目に○印をつけてください。あくまでも疑いがあるかないかの目安ですが、高得点の人は医師に相談したほうがいいかもしれません。

質   問 いいえ はい
ときどき しばしば つねに
1.体がだるく疲れやすいですか
       
2.騒音が気になりますか
       
3.最近気が沈んだり気が重くなることがありますか
       
4.音楽を聴いて楽しいですか
       
5.朝のうち特に無気力ですか
       
6.議論に熱中できますか
       
7.首すじや肩がこって仕方がないですか
       
8.頭痛持ちですか
       
9.眠れないで朝早く目覚めることがありますか
       
10.事故やケガをしやすいですか
       
11.食事がすすまず味がないですか
       
12.テレビを見て楽しいですか
       
13.息がつまって胸苦しくなろことがありますか
       
14.のどの奥に物がつかえている感じがしますか
       
15.自分の人生がつまらなく感じますか
       
16.仕事の能率があがらず何をするのもおっくうですか
       
17.以前にも現在と似た症状がありましたか
       
18.本来は仕事熱心で几帳面ですか        

(集計)
「いいえ」が0点、「ときどき」が1点、「しばしば」が2点、「つねに」が3点として、合計得点を計算します。ただし、質問2・4・6・8・10・12は加点しないでください。
(判定)
10点以下・・・基本的に問題ありません。
10〜15点・・・ボーダーライン上にいます。
16点以上・・・軽度のうつ病の疑いがあります。



●気をつけたいうつ病の初期症状

うつ病は憂うつ状態からうつ状態を経て、軽度のうつ病、うつ病、重度のうつ病へと進行していきます。早い段階でその芽をつんでしまえば、病気を防ぐことも可能で、適切な治療を受ければ治る病気なのです。
しかし、風邪などと違い、うつ病は一見してそれとわかる病気ではないので、周囲の人が気づきにくく、自分でもなかなか判断できないものです。とはいえ、症状が出ないわけではありません。
うつ病の初期症状は、精神面だけでなく、身体面にも現れます。精神面では、感情が揺れ、意欲が減退し、思考が鈍ります。一方身体面では、頭痛や消化不良から睡眠障害まで全身に症状が出てきます。早期発見・早期治療のために、うつ病の初期症状を紹介しましょう。

■精神面のうつ病
(感情)
*理由のない不安感に襲われる
*イテイラして落ち着かない
*気分が落ち込んだままだ
*寂しく、もの悲しい
*焦燥感に苛まれる
(意欲)
*気力がなくなる
*根気がなく、何をしても続かない
*外出が面倒で、家にこもりがちだ
*外見やおしゃれにかまわなくなる
*口数が少なくなる
(思考)
*頭にもやがかかっているようだ
*決断力が鈍る
*物事を始めるのに時間がかかる
*言動に自信がなくなる
*考えや意見がまとまちない
■身体面のうつ症状
*頭痛
*睡眠障害
*腰痛
*めまい
*腹痛
*関節痛
*耳鳴り
*食欲減退
*冷え
*肩こり
*消化不良
*口の渇き
*便秘
*味覚異常
*下痢

 



●「うつ病」ってどんな病気?

うつ病は、何かの原因がきっかけとなって、気分が沈んで元気が出なくなり、物事に取り組む意欲が失われていく心の病気です。
私たちは日頃の生活の中で、家族の同席、仕事上のミスや人間関係のトラブル、失恋などに直面したとき、しばしば落ち込んだり、悩みを抱え込んでしまうことがあります。たいていの場合は、友達に愚痴ったり、気分転換をすることで心が晴れ、また新しいエネルギーが湧いてきます。しかし、ある程度の時間が経っても憂うつな気分が続いて、マイナス思考から抜け出せず、日常生活に支障が出始めることがあります。これがうつ病なのです。

●うつ病の主な要因
*心理的要因・・・家族の死や失恋
*身体的要因・・・ストレスや疲労の蓄積
*環境的要因・・・夫婦・親子関係の悪化や職場での人間関係のトラブル
*性格的要因・・・几帳面で生真面目な性格




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