HOME 特集 今月の健康 予防医学 温泉で健康

「ゲーム脳」の危険性とその理論の信憑性をめぐって侃々諤々(かんかんがくがく)の昨今。難しい話は専門家にまかせるにしても、親にとって子供を育てるうえで大きな関心事に違いありません。ここでは脳の活性化を中心に考えます。


青少年犯罪が発生すると、テレビゲームが原因になったのではないかと問題を提起する報道や記事によく出会います。これは、テレビゲームなどをやり続けると脳の前頭葉にある前頭前野の機能が衰えて、記憶力や創造力、コミュニケーション力や抑制力など人間らしさを保つための能力が著しく低下するという説に基づいているようです。
平成13年の「警察白書」も、子供の健全な育成を妨げる背景として、急激な情報化の進展を取り上げています。そして、その中で総務庁青少年対策本部がまとめた調査結果として、コンピュータゲームが暴力を誘発する傾向があることに言及。また、携帯電話やインターネットの普及による遊びや生活環境の変化が子供たちの情操の発達に悪影響を与えていることも認めています。
これらのことから、ゲームが犯罪の直接の原因ではないとしても、その環境が脳の活性化を妨げており、それが一因となっていることは間違いなさそうです。





近年、脳の形態や神経活動を画像化するプレインイメージングの技術が発達したおかげで脳科学分野の研究が急速に発展し、前頭前野の機能に関する研究も進んでいるようです。
プレインイメージングの日本における第一人者である、東北大学未来科学技術共同研究センターの川島隆太教授は、言葉や数を扱うときに前頭前野が活発に働くと言います。そして、前頭前野を刺激する方法としては、音読や書き取り、アカペラで歌ったりピアノを弾いたりすることなどが有効なのだそうです。
その中で最も興味深いのが”コミュニケーション”。たとえば、学校であったことを親や兄弟に話す、会話をしながらその日の出来事を思い出す、相手の考えや気持ちをくみとるという一連の動作が脳の活性化につながっているということ。
やはり、学校から帰ったあとひとりでゲームぱかりして過ごすような環境に子供を置くのは避けたいものです。





脳を含め私たちの体の細胞は、すべてタンパク質でできています。そのタンパク質を構成しているアミノ酸は、脂肪の燃焼や肌の再生、体力や免疫力の強化のほか、脳の活性化にも大いに役立ちます。
脳機能を活性化するアミノ酸はチロシンとトリプトファン。チロシンは、脳を覚醒、興奮させる作用をもつ神経伝達物質であるドーパミンなどの原料で、集中力を高める働きがあります。トリプトファンは、脳を休ませる神経伝達物質セロトニンの原料で、リラックス効果があります。
脳を活性化させるためには、この2つのアミノ酸を使い分け、集中とリラックスの切り替えを上手にすることが大切なのです。
これらのアミノ酸をはじめ、脳の活性化に有効な栄養素とそれを摂取できる食品を別表にあげておきますので参考にしてください。
サブリメントも有効ですが、栄養バランスの良い食事を摂ることを前提に、あくまで補助食品であることを忘れないこと。また、小学生以下の子供は十分に脳が発達していないので、サプリメントではなく食事で摂取できるようにしてあげましょう。



●脳を活性化する主な栄養素の働きと含有食品
栄養素 働  き 含有食品

タンパク質
(アミノ酸)

神経伝達物質の原料となる。チロシンはドーパミンやノルアドレナリンの原料で、脳を興奮させてやる気を引き越こしたり、情動に作用する。トリプトファンはセロトニンの原料で、鎮静および睡眠導入に関与する。 大豆、豆腐、納豆、たけのこなど(チロシン)、小麦胚芽、鶏肉、牛乳、ヨーグルトなど(トリプトファン)
糖質 糖質が分解されたブドウ糖は脳のエネルギー源。体の中で最もエネルギーを消耗する脳に欠かせないもので、ブドウ糖が不足すると頭がぽーっとする。 米、麦、いも、豆類など
ビタミンB群 ビタミンB1はブドウ糖の代謝を促し、欠乏すると疲労感や記憶力の低下に見舞われる。ビタミンB6は神経伝達物質の合成に関与する。 のり、ごま、小豆、玄米など(ビタミンB1)、牛肉、レバー、マグロなど(ビタミンB6)
カルシウム 記憶や感覚などの情報伝達に関与。欠乏するとイライラ感に襲われたり、集中力が低下したりする。 煮干し、小魚、ひじき、牛乳など
DHA
(ドコサヘキサエン酸)
脳質の主成分である不飽和脂肪酸で、記憶・学習能力を高める。攻撃衝動を抑えたり、ストレスに対して強い脳にする働きもある。 サンマ、イワシ・サバ・ブリなど






このホームページのご意見・ご感想はこちらまでinfo@e.oisyasan.ne.jp

Copyright (C) 2000 e.oisyasan.ne.jp. All rights reserved