一般的に、血液検査で総コレステロール値が220mg/dl以上、中性脂肪値が150mg/dl以上、HDLコレステロール値が40mg/dl以下のいずれかひとつでも当てはまる場合、高脂血症と診断されます。私たちがこの診断に神経質になるのは、この3つの要素によって動脈硬化が進み、やがて脳梗塞や心筋梗塞、狭心症などの病気を引き起こす危険性が高まるといわれているからです。
では、コレステロールは本当に体に悪いものなのでしょうか。
コレステロールは、体の細胞膜やホルモンを構成する成分であり、消化吸収を助ける胆汁の成分である胆汁酸の原材料にもなります。食物からも摂取されますが、ほとんどは肝臓で合成されます。
体内のコレステロールが少なくなって細胞膜の機能が低下すると、いろいろな物質の受け渡しをする受容体の働きに支障をきたし、さまぎなな不具合を生じます。たとえば、神経細胞では神経の伝達がうまくいかなくなり、筋肉細胞では筋肉の収縮に問題が出て、副腎ではホルモンをつくる機能が低下するという具合。
悪者扱いされがちなコレステロールですが、実はこれなしでは生命を維持できないほど重要な存在でもあるのです。
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