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健康診断でコレステロール値が少しでも高いと不安になる人が多いようです。これは、コレステロールが体に悪いというイメージのせい。まず、その正体を理解したうえで、健康との関連性を見ていきましょう。


一般的に、血液検査で総コレステロール値が220mg/dl以上、中性脂肪値が150mg/dl以上、HDLコレステロール値が40mg/dl以下のいずれかひとつでも当てはまる場合、高脂血症と診断されます。私たちがこの診断に神経質になるのは、この3つの要素によって動脈硬化が進み、やがて脳梗塞や心筋梗塞、狭心症などの病気を引き起こす危険性が高まるといわれているからです。
では、コレステロールは本当に体に悪いものなのでしょうか。
コレステロールは、体の細胞膜やホルモンを構成する成分であり、消化吸収を助ける胆汁の成分である胆汁酸の原材料にもなります。食物からも摂取されますが、ほとんどは肝臓で合成されます。
体内のコレステロールが少なくなって細胞膜の機能が低下すると、いろいろな物質の受け渡しをする受容体の働きに支障をきたし、さまぎなな不具合を生じます。たとえば、神経細胞では神経の伝達がうまくいかなくなり、筋肉細胞では筋肉の収縮に問題が出て、副腎ではホルモンをつくる機能が低下するという具合。
悪者扱いされがちなコレステロールですが、実はこれなしでは生命を維持できないほど重要な存在でもあるのです。





では、コレステロールが体の中で悪さをするのはどういう状況においてなのでしょう。
血液中にはコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類の脂質があります。
これらの脂質は血液に溶けないため、たんばく質の容器に入れられて体内に運ばれると考えてください。遊離脂肪酸以外の脂質がさまぎまな割合で存在する容器をリボたんばく質といい、遊離コレステロールとアポたんばく質、リン脂質に包まれるようにしてコレステロールエステルと中性脂肪が入っています。
その容器の中で、リン脂質の成分比率が高いものがHDL(高比重リボたんばく質)、コレステロールの比率が高いのがLDL(低比重リボたんばく質)で、中性脂肪の比率が高いのがVLDL(超低比重リボたんばく質)とカイロミクロンです。
コレステロールを肝臓から体内の細胞に運ぶLDLが増加すると、血液中のコレステロールが増えすぎ、やがて動脈癖に入り込んで蓄積されると動脈硬化を引き起こします。このためLDLが運ぶコレステロールは「悪玉」と呼ばれています。これに対し、HDLには体内の細胞にたまった余分なコレステロールを回収して肝臓に戻し、動脈硬化を防ぐ作用があるため、「善玉」と呼ばれているのです。
コレステロールは、前述したとおり、私たちの体に欠かせないものですが、増えすぎると病気の原因になることも事実。定期検診などで血液検査の数値をチェックして、標準値の範囲を外れている場合は医師の診断を仰ぎましょう。



●リポたんぱく質の種類と働き
種類 合成臓器 主な脂質成分 主な働き
HDL
(高比重リポたんぱく質)
肝臓・小腸・血液 リン脂質・コレステロール 体内の各組織の細胞から余分なコレステロールを肝臓に回収する。
LDL
(低比重リポたんぱく質)
血液 コレステロール コレステロールを各組織の細胞に届ける。
VLDL
(超低比重リポたんぱく質)
肝臓 中性脂肪 肝臓で合成された脂質を各組織に運ぶ。
カイロミクロン 小腸 中性脂肪 食物から吸収された脂質を肝臓に運ぶ。






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