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パソコンの入力作業や楽器演奏だけでなく、台所仕事なども原因になるといわれる腱鞘炎(けんしょうえん)。
手首や指の辛い痛みから解放されるためには、そのメカニズムを理解した上で、適切な治療や予防法を実行したいものです。



●腱鞘炎の治療と予防

手首や指の使い過ぎなどによって引き起こされる腱鞘炎の治療の基本は、原因となっている仕事や家事、スポーツなどをできるだけ避けて、炎症部位を安静に保つことです。
腫れや熱を伴う場合は、冷湿布などで患部を冷やしましょう。包帯で固定すると痛みが軽減されます。
数日たっても症状が改善されない場合は整形外科などの専門医の診断を仰ぎましょう。
治療は、軽度であれば抗炎症剤が投与され、薬で痛みが引かないときは、レーザーなどを使った温熱療法やステロイド注射、腱鞘を切開する手術などが行われます。
しかし、副作用や神経の損傷など、危険がゼロとはいえない注射や手術はできれば避けたいもの。即効性は期待できなくても、日頃の生活のなかで症状を軽くしたり、予防ができればそれにこしたことはありません。
たとえば、パソコンで作業をするときは、手首が反らないような工夫を。キーボードの手前にクッションを置いたり、椅子を少し高くすると良いでしょう。手首にサポーターをするのも効果的です。ただし、収縮性の少ないものを選んでください。
普段の食生活で気をつける点は、ビタミンA・C・Eや、アントシアニン、カテキンなどの抗酸化物質を含む食品を摂ること。腱の構築に関わっているグルコサミンのサプリメントは予防には有効でしょう。しかし、すでに症状が出ている場合は、キャッツクローなど抗炎症作用や鎮痛作用が認められているもののほうが良さそうです。


●腱鞘炎への効果が期待される主なサプリメント

・キャッツクロー
ペルーなどアマゾンの熱帯雨林に自生するハーブから抽出されたサプリメント。アルカロイドなどの含有成分に、免疫力を向上させる働きのほか、抗炎症作用や鎮痛作用などがある。関節炎に対する効果はWHO(世界保健機関)が認めている。

・カニ殻由来のグルコサミン
カニやエビの殻から抽出したキチンを分解して作られたサプリメント。グルコサミンはアミノ酸の一種で、人間や動物の体内で合成される関節軟骨の構成成分。変形性関節症に効果がある。

・CPL(環状重合乳酸)
体内のエネルギー代謝によって生成される物質を天然の乳酸から人工的に合成することに成功したサプリメント。ガン細胞の増殖抑制作用のほか、婦人科系疾患やリウマチなどの痛みの緩和にも効果が期待されている。




●腱鞘炎の原因と症状

パソコンを使った入力作業など、同じ姿勢で長時間仕事を続けると、首、肩、腕、指などに疲れがたまります。指や腕を酷使し続けて手の関節に痛あを感じるようになったら腱鞘炎の赤信号かもしれません。
腱は、筋肉を骨に結合している繊維性の組織の束で、所々で腱を包んでいる腱鞘は、腱を滑りやすくする滑液を含んだ袋状のもの。通常は、腱が腱鞘内をスムーズに通ることで指の曲げ伸ばしが行われます。この腱の滑らかな動きが妨げられ、炎症を起こした状態が狭窄性(きょうさくせい)腱鞘炎です。
狭窄性腱鞘炎には、ドゥケルバン腱鞘炎とバネ指と呼ばれるものがあります。
ドゥケルバン腱鞘炎は、手首の伸筋腱(指を伸ばす腱)の炎症。タオルを絞ったりすると、手首の親指側が痛みます。指を酷使している人のほか、妊娠、出産、更年期がきっかけとなって発症するケースや、ガングリオンなどの腫瘍に伸筋腱が圧迫されて症状が出る場合もあります。
バネ指は、指の屈筋腱(指を曲げる腱)を腱鞘が圧迫して起こる腱鞘炎。中高年の女性に多く、親指のほか中指や薬指にも症状が現れます。指の曲げ伸ばしが困難になり、無理に伸ばそうとするとバネ現象のようにビヨーンと弾んで、指の付け根に痛みを感じます。




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