HOME 特集 今月の健康 予防医学 温泉で健康

腸には良い菌、悪い菌、どちらともいえない菌が混在していて、そのバランスが崩れると健康を害しやすくなるといわれています。
ここでは、ベストな腸内環境を保つために欠かせない発酵食品と菌を紹介します。



●善玉菌を増やす昔ながらの発酵食品

ビフィズス菌が減少した腸内環境を整えるためには、食品などで外から定期的に摂取する必要があります。このとき注意したいのは、ビフィズス菌は強い酸に弱いので、胃酸などによって殺されてしまう可能性が大きい性質をもっていること。そんなとき、機能性乳酸菌を使った乳酸菌飲料やヨーグルトなどの食品なら効率良く摂取できます。一緒にビフィズス菌の栄養となるオリゴ糖を摂ると効果は高まるでしょう。
また、免疫力の活性などの機能性が最近注目されている発酵食品にも、菩玉菌を増やし、悪玉菌を排除して腸内環境を整える働きがあります。
納豆やみそのほか、チーズやサワークラウト、キムチやザーサイなど、発酵食品は世界各地で昔から食卓に並んできました。これら発酵食品の製造には、カビ、酵母、細菌などの微生物、いわゆる発酵菌の働きが欠かせません。
糖質を分解して乳酸を生成する乳酸菌は、ヨーグルトやチーズ、漬物などに使われる発酵菌の代表。酢酸菌は、エタノールを酸化して酢を作ります。また、デンプンやタンパク質を分解する酵素を生産する麹菌は、みそやしょうゆなどの製造に欠かせません。糖をエタノールに変える働きがある酵母菌は、ワインや日本酒を作るときに必要。酵母菌の一種である天然酵母菌やイースト菌はパンに使われます。
発酵食品を食べると、腸の消化・吸収が良くなることで、発酵によって作り出された酵素や成分をしっかりと取り込むことができ、それらが腸を整えるという相乗効果が生まれます。
このように、善玉菌優勢の腸内環境を維持するためには、発酵食品を摂ることが大切です。もちろん、食事だけでなく、適度な運動と十分な睡眠など、健康的な生活を送るよう心がけることも忘れないでください。


●善玉菌優勢の腸内環境を保つための注意点

*肉中心に食事が偏らないよう注意し、発酵食品を摂る。
*規則正しい生活をし、十分睡眠をとる。
*毎日決まった時間にトイレに行く習慣を身につける。
*スポーツや散歩などをして体を動かす。
*過度のストレスがたまらないように気分転換を心がける。
*お酒は適量を守り、タバコは控える。




●腸内環境を左右する善玉菌と悪玉菌の勢力関係

私たちの腸内には100兆個もの細菌が生息しているといわれます。これらの腸内細菌は、通常その働きにより、善玉菌(体に良い薗)、悪玉菌(体に悪い菌)、日和見菌(体に良いとも悪いともいえない菌)の3つに分類されています。ただし、厳密にいうと、環境によって菌の機能は変わるので、一概に菌自体の有用、有害をいうことはできないようです。
これらの菌同士は、常に腸内で勢力争いを繰りひろげており、それによって腸の状態は変わります。つまり、善玉菌の割合が悪玉菌より多い場合、善玉菌は悪玉菌の働きを抑え、消化・吸収作用を促進したり、免疫力を高めたりします。しかし、この割合が逆転すると、腸内環境は悪化し、悪玉菌が生活習慣病などの病気を引き起こしてしまうといわれます。
善玉菌の中で最も代表的なものが乳酸菌の一種であるビフィズス菌。授乳期の赤ちゃんの腸はビフィズス菌が大半を占めていますが、離乳食を食べ始める頃から大人と同じ腸内環境になっていきます。そして老年期を迎えると、善玉菌が減って悪玉菌が増えます。
しかし、腸内環境の悪化状況は、加齢だけではなく食生活にも大きく左右されます。魚や野菜中心から肉中心の食習慣になった現在では、多くの人が、実年齢より腸年齢のほうが上だといわれているのです。


●主な発酵菌の機能と特徴

発酵菌 特  徴 発酵食品
乳酸菌 300種類以上存在するといわれ、繁殖る食品は種類によって異なる。糖質を分解して乳酸を生成。腐敗を防ぐ働きがあり、悪玉菌の増加を抑える。 チーズ、ヨーグルト、みそ、しょうゆ、漬物、キムチ、ザーサイ、サワークラウトなど
酢酸菌
エタノールを酸化して酢酸を生成する。ビフイズス菌の増殖を促進する。
納豆菌 酸に強いので、胃酸に負けず腸内に到達し、悪玉菌の繁殖を防ぐ。納豆菌が作り出す酵素ナットウキナーゼは血栓を溶かし、血液をサラサラにする。 納豆など
麹菌 蒸した穀物などに繁殖し、デンプン、タンバク質を分解する酵素を生産する菌で、日本の発酵食品の多くに使われる。ビタミン類を生成する。 みそ、しょうゆ、米酢、豆腐ようなど
酵母菌 糖をエタノールと炭酸ガスに分解する。酸素がなくても存在できる。炭酸ガスが増えると他の多くの微生物は存在できなくなるので、悪玉菌の抑制につながる。
ワイン、日本酒、パン、魚醤など



このホームページのご意見・ご感想はこちらまでinfo@e.oisyasan.ne.jp

Copyright (C) 2000 e.oisyasan.ne.jp. All rights reserved