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たとえば、あなたの健康の相談が気軽にできる「先輩」です。
あなたの健康管理のパートナー、それが「かかりつけ医」です。過去の病歴や持病など、あなたの全体像をしっかり知っている「かかりつけ医」は、あなたの健康を長い生涯にわたって気にかけてくれる「先輩」になります。

たとえば、あなたの病状と専門医を結びつける「仲人」です。
どこかに変調がおきたら、ご近所の「かかりつけ医」に相談しましょう。これまでに身につけた幅広い知識と技術をもとに診療してくれる「かかりつけ医」は、必要があれば適切な専門医にあなたを結びつける「仲人」になります。

たとえば、あなたの家族の健康をカジとりする「船長」です。
かかりつけ医は、あなたの家族の健康のあり方に責任をもつ「船長」にたとえられます。いろいろな病状に対応してくれる「かかりつけ医」をご近所にもっていれば、家族という船にきっと大きな安心が生まれるはずです。






患者にとってかかりつけ医は、自分の体のことを一番よく知っていて、体調に不安を感じた時に安心して相談できる存在。しかし、なかなかそうした医師に巡り会えないのも現実です。

理想のかかりつけ医を見つけるには?

かかりつけ医を持たない人は3割強

健康保険組合連合会が行った調査「『健康づくりと医療』に関する調査結果報告書」では、「かかりつけ医は必要」「どちらかといえば必要」と感じる人は実に83.1%(3576人中)にも上った。
しかし実際には、「特に決まったかかりつけ医はいない」という人が33.8%だったことからも、かかりつけ医探しの難しさを見ることができます。


名医が教えるかかりつけ医の条件

長年医師として患者に閑わってきた芝病院名誉院長の稲垣元博医学博士は、「かかりつけ医を近所に1人でも確保しておくのは大切なことだ」心身に異変が起きた時にいつでも診てもらえるという安心感を得るためです。
かかりつけ医選びのポイントを挙げてくれた。
  1. 患者の立場を常に考えて、話を聞いてくれる医師・・・近所の人の意見を参考にすると良い。
  2. 自分が病気を体験している医師・・・患者の苦しみがわかるから。それとなく開いてみると良い。
  3. 常に新しい知識を吸収しようとしている医師・・・医療は常に進歩している。学会出席のために休診する医師などは、勉強している可能性が高い。
  4. メンタルケアができる医師・・・ストレス社会の現代、原因不明の病気に悩まされる人は多い。それを見抜いてケアできる医師は貴重。
  5. 往診をしてくれる医師・・・昨今少なくなっている往診をしてくれる医師ならばなお良い。高齢者などは、いざという時に病医院まで自力で行けない場合もあるため。





自らの分をわきまえている(51歳・女性)
苦労して苦労して、やっとの思いで探し当てたかかりつけ医(内科)がいます。私が疑問に思ったことに対して親切に答えてくれ、私にとってこれ以上の先生はいません。
先日、腰痛がひどくなった際、専門外であるけれど、ダメもとで相談してみました。そうしたら先生は「僕にはわからないよ。でも、○○先生に相談してみたら?」といって、整形外科の先生を紹介してくれたのです。いざ行ってみると、その先生も素晴らしい方!
腰痛はすっかり完治し、今では2人のかかりつけ医に恵まれています。

友達から始まった先生との関係、今では何でも相談できる(32歳・女性)
小さい頃からよくむし歯になり、歯科医院に通っていた私。しかし、フィーリングが合う先生になかなか出会えませんでした。そのため、毎回違う歯科医院に通っていたのです。
でも、今では歯科のかかりつけ医がいます。あるサークルに通っていたら、その先生と友達になったのです。医師と患者という関わりではなく、友達同士という関係からスタートしたので、肩肘張らずに疑問に感じたことは何でも質問できますし、先生も必要なことは遠慮なく言ってくれます。

「最大の主治医はお母さん」この言葉で頑張らなければと(57歳・女性)
私の子どもは、生後間もない頃からある病気と闘い続けてきました。どの病院、どの医師に診せても、「自律神経失調症」などといってごまかしの病名を付けられるばかり・・・
そんななか、友人にある医師を教えてもらい、受診したところ子どもは快方に向ったのです。その先生から、「最大の主治医はお母さんなんですよ。」と言われた時は、「この子をしっかり支えなきゃ!」と心を新たにしたことを、昨日のように記憶しています。時には、友人からの紹介も重要な情報になると痛感しました。

親身に診てくれる院長の姿に惚れ込む(38歳・女性)
子どもの友達の母親が、近所の医師の看護師です。会うといつも、院長への不満を漏らしていたので、次第に私も「悪い医院だ」と思い、行くのは避けていました。しかし、ある晩、子どもが急に熱を出し、夜間診療の担当はその医院。苦しむ子どもを放っておくわけにもいかず、しぶしぶ連れて行きました。そうしたら、院長自らが親身になって診察してくれたのです。院長は患者を思い、スタッフを厳しく指導していたのでしょう。私は院長のその姿勢に惚れ込み、今では最高のかかりつけ医になっています。




マスコミ情報をう呑みにする(47歳・男性)
テレビによく登場し、名医といわれているA医師。画面から伝わってくる穏和な雰囲気と歯切れの良さから、私も名医と信じ込み、近所だったこともあって受診しました。待合室は多くの患者でごった返していました。やっと私の番が回ってきたのですが、診察室に入って愕然としました。そこにいたのは、テレビでよく観るA医師ではなく、代理の医師。その医師によると、先生は多忙で週1日診察すれば良いほうだとのこと。本業を疎かにし、”売名行為”に奔走している医師は信用できないと思いました。

友人から紹介され断り切れず(53歳・女性)
なかなか良いかかりつけ医を見つけられず、信頼できる長年の友人に相談しました。そうしたら友人が、「知り合いの医師がいるよ」と紹介してくれたのです。「私が信頼している友人の知り合いなら、きっと良い医師に違いない」と思いこみ、受診しました。
ところが、その医師は、私の理想とはまるで違う人。横柄な態度や患者を無視した診察に、ほとほと嫌気がさしました。しかし、大切な友人が紹介してくれた医師だけに、行かなくなると友人の顔もつぶしてしまいます。仕方なく今でも週に1度、その医師のもとに通っています。

調べないまま通い易さだけで選ぶのは危険(38歳・女性)
引っ越したので、どこの医院が良いのかわからず、かぜをひいた時に、とりあえず一番近くの標榜科目がたくさんある開業医に通っていました。ところがある日、激しい胃の痛みに襲われ、その開業医を受診したら、先生は「ちょっと待って」と言って、家庭の医学書を引っ張り出してきたのです。苦しむ私をよそに、先生は本とにらめっこ。「それで病気が治せるなら、私も医師になれるよ!」と内心、不満と怒りでいっぱい。普段から信頼できるかかりつけ医探しが必要だと痛感しました。




  • 金さえ払えばいいんだろうという態度で、とにかく金をちらつかせる患者さん。私はお金に困っていませんし、すべてお金で解決するわけでもありません(52歳・外科医)
  • 最初から医師を疑ってかかる患者さんはやりにくい。今まで嫌な思いをしたのかもしれないけど、すべての医師を色眼鏡で見ないでください。(37歳・開業医)
  • 社会的地位を鼻にかける患者さんは苦手です。私は肩書に関係なく、人間を診ているのですから。(40歳・内科医)
  • 病気に対する知識を得るのは大切だけど、誤った情報をう呑みにして、私が言うことを信用しない患者さんは困ります。そんなに知識があるなら、自分で治してください。(32歳・整形外科医)
  • 嘘をつくのだけは勘弁してください。質問したことに正直に答えてくれないと、適切な処置ができません。(53歳・開業医)
  • できるだけ親身になって患者さんの話を聞こうと心がけています。でも、昨日の出来事を診察中に30分も話されるのはちょっと辛いです。ほかの患者さんもいらっしゃいますので。(61歳・開業医)
  • セクハラという言葉に、敏感になりすぎている患者さんはちょっと困ります。診察の際は触診が必要ですので、正しい医療行為だと理解してください。(63歳・開業医)


  • 何科でもいいから信頼できるかかりつけ医を探す(名医は名医を知っている)
  • 全感受性を注いで医師に会う
  • 受診の際には質問事項をメモして持っていく(的確に答えられなければダメ)
  • 知らないことは知らないとはっきり言う医師が良い
  • 複数ある治療法をすべて話してくれる医師を選ぶ
  • 西洋医学だけが医療ではないと自分が認識する
  • 薬を1疾病に複数処方する医師はダメ(日本の西洋医は薬学に疎いと認識する)
  • 素人から紹介された医師を信じない
  • 診断名がわかったら関連書を読み自分で研究する
  • 最後は自分の直感を信じる

    作家 下田治美さん


  • 自宅から近い病医院のなかで探す
  • 説明や対応が良い医師が必ずしも名医ではない
  • 医療に100%はない。「絶対大丈夫」「失敗したことがない」という言葉をう呑みにしない
  • 大学病院などの大病院のブランドに惑わされるな
  • 看護師の態度にも注意する
  • 不信感を持つと医師もバリアを張るので、自分から心を開くように努力する
  • 最低3病院(医師)を選び、実際に受診してみる
  • いろいろな情報に惑わされすぎない
  • 最後は自分の第六感とフィーリングを信じる

    医療コーディネーター 東舘弘美さ


日本医療企画「ホスピタウン」より



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