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病気になって入院や手術という事態に陥った時、医療費はいくらぐらいかかるのだろうか。
もっとも気になる情報を、実例をもとに提供する。
ただし、同じ病気でも患者の体調や環境、そして医療機関によって、治療法や使う薬が違ってくる。
ここで紹介する一つのケースの医療費は、あくまで1つの目安である。

乳がんで乳房温存手術・・・56万5410円

定期約な検診では「異常なし」だったのに
M・Kさん(50歳)

乳がんの視診や検診は毎年受けていて、いつも「異常なし」という結果でした。しかし、ある時シャワーを浴びていて、胸にしこりがあることに気づきました。検診で異常なしだったのだから、気のせいと思いこもうとしたのですが、鏡をのぞいたり、着替えをするたぴに胸のしこりが気になります。乳がんになりたくないという気持ちが強かったのでしょうね。
悩みに悩んで家族に打ち明けると、「もし本当に乳がんだったらどうするの。すぐに病院に行って」と言われました。家族に説得され、近くの総合病院を受診しました。結果は、やはり乳がんでした。
ただ幸いにも、診察してくれた医師が乳房温存手術を何度も行った経験があり、私のケースも適用になると言われました。
そこで、その病院に入院し手術することにしたのです。
手術そのものは2時間半くらいでした。入院も6日ですみ、術後の経過も順調。現在は定期的に検査に通って、再発がないかどうかをチェックしてもらっています。
治療責の総額は55万4710円で、3割の自己負担額が16万6410円でした。食事療養費の自己負担額が加わって、総額は17万310円。高額療養費の申請をするつもりです。
その場合の自己負担限度額は、7万2300円+(55万4710円−24万1000円)×1%=7万5440円。自己負担額から引いた9万970円が戻ってくるはずです。

医療費
指導管理料 4,000円
投薬料 2,710円
注射料 7,890円
処置料 5,100円
手術料 356,010円
検査料 76,400円
入院料 102,600円
小  計 554,710円
食事療養費 10,700円
医療費合計 565,410円
3割自己負担額 166,410円
食事療養費の自己負担額
790×5日
3,900円
自己負担額合計 170,310円


胃がんで胃切除術・・・161万2450円

胃の痛みがひどくなり内視鏡検査でがんを発見
K・Yさん(53歳)

10年ほど前、背中が痛くて病院で検査してもらったら胃潰瘍だったということがありました。それ以来、胃の痛みなどの症状が出るたぴに、市販の胃薬を買って飲むようになりました。最初はしばらく飲みつづけていれば効いていた胃薬が、だんだん効かなくなり、1年中飲むようになったのです。
昨年、ついに胃の痛みが我慢できないほどひどくなり、さすがにこれはおかしいと思い、病院へ。胃の内視鏡検査などを受け、胃がんと診断されたのです。胃の一部を切除する手術を受け、36日間入院しました。
胃を切除すると、冷や汗や動悸、めまいを生じるダンピング症候群が起こることがあります。私の場合も、食後すぐに大量の汗が出ることが数回ありました。今は1ヶ月に1度くらい、定期的に検査を受けるために通院しています。
手術を受けた時の医療費は154万6440円でした。3割の自己負担額は46万3930円。食事療養費の自己負担額が加わって、48万5770円を支払いました。
高額療養費の対象になりましたが、入院が2ヶ月にまたがったので、分けて申請しました。どちらの月も支払った額が自己負担限度額を起えていたので、払い戻しを受けることができました。

医療費
指導管理料 30,300円
投薬料 10,540円
注射料 32,970円
処置料 11,500円
手術料 699,160円
検査料 93,220円
画像診断料 151,450円
入院料 517,300円
小  計 1,546,440円
食事療養費 66,010円
医療費合計 1,612,450円
3割自己負担額 463,930円
食事療養費の自己負担額
780×28日
21,840円
自己負担額合計 485,770円

内視鏡的切除術の場合は32万2710円

早期の胃がんでリンパ節転移がなければ、内視鏡的切除術の対象になる場合がある。
条件は「胃の粘膜の浅いところにあり、大きさが2cm以下で、胃の正常な粘膜とよく似た未分化のがん」であること。
口から内視鏡を入れて行うため、開腹手術をする必要がなく、患者の負担が少ない。入院日数も短く、入院にかかる費用が少なくてすむため、医療費も安くなる。

内視鏡的切除術を受けた場合の医療費の例(入院日数10日)

医療費小計 322,710円
3割自己負担額 96,810円
食事療養費の自己負担額
780×8日
6,240円
自己負担額合計 103,050円


心筋梗塞で経皮的冠動脈ステント留置術・・・152万4860円

気分が悪くなって嘔吐救急車で病院へ
O・Tさん(44歳)

寒い冬の日でした。自宅で寝ていたんですが、夜中にトイレに行きたくなって起きました。廊下もトイレも寒くて、震えながらトイレに入りました。
ところが、トイレに入って用を足したとたん、急に気分が悪くなってしまったのです。たまらず吐いてしまうほどでした。吐いても少しも楽にならず、それどころか、立ち上がることさえできなくなってしまったのです。一緒の部屋に寝ていた妻が、いつまでも私がトイレから戻らないのを不審に思い、様子を見にきて発見。救急車を呼んでくれました。
近くの総合病院へ運ばれ、検査の結果、急性心筋梗塞との診断。すぐに入院して手術が必要と言われました。
心筋梗塞は、冠動脈の内部(内腔)が狭くなり、心筋へ酸素や栄養がいかなくなって壊死してしまうというもので、壊死した範囲が広いと死に至ることもあるそうです。
私が受けた治療は、「経皮的冠動脈ステント留置術」というものでした。狭くなっている冠動脈にバルーンがついたカテーテルを挿入し、拡張してステント(筒状またはコイル状の金属)を留置するというものです。腕から細いカテーテルを挿入するので、局所麻酔で行われ、入院は4日でした。
治療賛は151万5330円で、3割の自己負担額は45万4600円。それに4日分の食事療養費の自己負担額が加わって、合計金額は45万7720円でした。そこで、高額療養費の申請をしました。1ヶ月の自己負担限度額は、7万2300円+(151万5330円−24万1000円)×1%=8万5040円。
食事療養費を除く自己負担額45万4600円から8万5040円を引いた36万9560円が、約3ヶ月後に戻ってきました。

医療費
指導管理料 3,500円
投薬料 16,240円
注射料 2,300円
処置料 680円
手術料 1,328,790円
検査料 14,070円
画像診断料 9,650円
入院料 140,100円
小  計 1,515,330円
食事療養費 9,530円
医療費合計 1,524,860円
3割自己負担額 454,600円
食事療養費の自己負担額
780×4日
3,120円
自己負担額合計 457,720円

狭心症の冠動脈バイパス手術は169万9610円

心臓の病気の代表的なものに、心筋梗塞のほかに狭心症がある。冠動脈が狭くなって胸痛などの症状を起こすもので、治療法は薬物療法と生活習慣の見直しが基本だ。
薬物療法でコントロールできない時は、「経皮的冠動脈ステント留置術」や「冠動脈バイパス手術」が行われる。冠動脈バイパス手術は、3本ある冠動脈がいずれも90%以上狭窄している場合や、随所に狭窄を起こしてカテーテル治療では効果が低いと医師が判断した場合に適用される。
自分の体のなかの動脈や静脈をとり、冠動脈の狭窄部より先の部分にバイパス路をつなげるというもの。この手術は全身麻酔で開胸して行われるため、入院日数が長くなる。

冠動脈バイパス手術を受けた場合の医療費の例(入院日数18日)

医療費小計 1,699,610円
3割自己負担額 509,880円
食事療養費の自己負担額
780×17日
13,260円
自己負担額合計 523,140円


脳梗塞で点滴治療・・・103万1900円

手足に軽いマヒ
T・Sさん(58歳)

50歳になった頃から、健康診断で高血圧という検査結果が出るようになり、近所の内科クリニックに通いはじめました。定期的に血圧を測るとともに、薬を飲んで、食生活に気をつけたり、運動をするように指導されました。
昨年のことです。手足のしぴれを感じるようになったので、クリニックの医師に相談したところ、総合病院へ行って検査を受けたほうがいいと言われました。
脳神経外科を受診し、いろいろな検査を受けた結果、脳梗塞を起こしていると診断されたのです。脳梗塞は脳の血流が悪くなり、細胞の一部が壊死するというもので、体に障害が起きることがあるそうです。私の場合も、手足に軽いマヒが生じました。
入院して、血管に詰まった血栓を溶かす薬剤を点滴で投与するなどの治療を受けました。この治療だけなら、1週間ほどで退院できたのですが、手足に軽いマヒが起こっていたため、もう少し入院してリハビリを受ける必要があると医師に言われました。リハビリを受けた結果、入院は22日間に。入院生活が長引いてしまいましたが、おかげでマヒが残らず、退院後、仕事に復帰することができたのです。
医療費の総額は98万5260円。
3割の自己負担額は29万5580円です。これに食事療養費の自己負担額が加わって、支払った医療費の合計は31万2740円になりました。
高額療養費の対象になるとのことでしたので後日、申請をしました。
1ヶ月の自己負担額は、7万2300円+(98万5260円−24万1000円)×1%=7万9740円。
食事療養費を除く自己負担額29万5580円から7万9740円を引いた21万5840円が、2ヶ月後くらいに戻ってきました。

医療費
指導管理料 14,000円
投薬料 30,830円
注射料 283,050円
検査料 61,720円
画像診断料 33,460円
リハビリテーション料 206,400円
入院料 355,800円
小  計 985,260円
食事療養費 46,640円
医療費合計 1,031,900円
3割自己負担額 295,580円
食事療養費の自己負担額
780×22日
17,160円
自己負担額合計 312,740円


日本医療企画「ホスピタウン」より



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