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患者会はどのような活動をしているのだろうか?また、治療に関する情報収集や医師・病医院選びをどのように行っているのだろうか?豊富な情報を持っている患者会のなかで、今回はがん、糖尿痍、アレルギー、肝臓病、脳卒中の各有力患者会に、話を開いた。

がん全般(総患者数128万人、男67万4000人、女60万5000人)

NPO法人ジャパン・ウェルネス
住所:東京都港区赤坂3-11-14 赤坂ベルゴ805
TEL:03-5545-1805
URL:http://www.japanwellness.jp/
会員数:約700名

がん患者および家族に対する精神心理的サポートを行うことを目的として、2000年6月に設立された。がんは「身体の病」であると同時に「心の病」でもあるという認識のもと、悩みを共有し合い自己免疫力を高めることを基本に活動を展開している。肺がん、胃がん、大腸がん、腎臓がん、前立腺がん、乳がん、卵巣・子宮がん、肝臓・胆のうがん、白血病・悪性リンパ腫の体験者をそれぞれの疾患ごとのグループに分け、患者同士が本音で悩みを話し合う揚所を提供するサポートプログラムを実施。また、座禅、自己催眠、アロマテラピーなどの補完療法のプログラムも設けられている(有料)。そのほか、自らががん経験者で医師の理事長・竹中文良さんや、数名の医師によるセカンドオピニオン相談(有料)も実施している。
同会では、特定の医療機関の紹介は行っていない。「人間的で適切な対応であり、技術的にある程度の実力があれば、医師を信頼して治療を受けることが大切」(竹中理事長)という。

●選ぶポイント

  • 家族、友人、看護師などから知りうる限りの情報を提供してもらう
  • 治療法や医師に納得できない場合はセカンドオピニオンを受ける
  • 担当医師の症例数を調べる(医療関係者から情報を得ること)
  • ドクターショッピングは医師から信頼されないのでやめる


大腸がん(総患者数22万人、男12万3000人、女9万8000人)

社団法人日本オストミー協会
住所:東京都葛飾区東新小岩1-1-1-901
TEL:03-5670-7681
URL:http://www.joa-net.org/
会員数:約1万2000名

人工肛門・人工膀胱の保有者であるオストメイトの社会復帰をサポートしたり、行政に対する福祉制度の改善要求などを主な活動目的としている。全国に66支部があり、医師や看護師を招いての医療講演会、会員同士の体験交流、福祉制度の受給相談、オストメイト福祉制度の改善運動などを行う。
食生活の欧米化が原因で大腸がんや膀胱がんが年々増加、それに伴ってオストメイトも増えている。
手術を受ける際には最新設備が整い、経験豊富なスタッフがいる医療機関を選ぶこと。
また、アフターケアを考えると、ストマ外来を設けている病院を選ぶとよいという。受診の際は予約を必要とする病院がほとんどなので、事前に問い合わせを。

●選ぶポイント

  • 設備が整っている病院
  • 技術力があり経験豊富な医師をはじめ、医療スタッフがいる
  • アフターケアを行うストマ外来がある


乳がん(総患者数16万人、男4000人、女15万8000人)

イデアフォー
住所:東京都文京区千石4-46-14 青山ビル301
TEL:03-3944-8198
URL:http://www.ideafour.org/
会員数:約500名

乳がん体験者が中心となって1989年に発足させた市民団体。代表者をおかず、10名ほどの世話人の合議制によって運営されている。同会の活動目的は(1)インフォームド・コンセントの推進、(2)医療情報の収集と提供、(3)乳房温存療法に関する情報の収集と提供が3本柱。活動内容は講演会やセミナーなどの開催、年4回の会報『イデアフォー通信』の発行、無料電話相談、「おしゃべりサロン」や「再発おしゃべりサロン」の開催、納得がいかない医療行政や報道へ対する要望・提言など。
同会の活動の1つ、無料電話相談には「よい病院を知りたい」という声が多数寄せられるが、特定の病院の推薦は行っていない。そのような質問に対しては、患者本人が納得できる病院・医師選びが行えるように、以下のようなポイントをアドバイスする。先に紹介した『乳がん治療に関する病院&患者アンケート』も病院・医師選択の際の一助になる。

●選ぶポイント

  • がんが判明してから治療法をゆっくり(1〜2力月かけて)選んでもOK
  • 事前に書籍やインターネットなどで乳がんに関する知識を収集する
  • 説明が丁寧な医師、セカンドオピニオンを快諾してくれる医師を選ぶ
  • 最終的には治療リスクも含めて自己決定を!


糖尿病(総患者数228万4000人、男120万8000人、女107万6000人)

社団法人日本糖尿病協会
住所:東京都港区浜松町2-7-15 日本工業ビル7F
TEL:03-3437-1388
URL:http://www.jadce.or.jp/
会員数:約8万名

1961年に設立され、糖尿病患者やその家族、医療スタッフ約1500の糖尿病「友の会」から構成されている。87年に社団法人日本糖尿病協会となった。同会の活動目的は(1)糖尿病に関する正しい知識の普及に努める、(2)患者及びその家族への療養指導、(3)国民の糖尿病予防、(4)健康増進のための調査研究の実施、などである。主要な活動は、月刊の会報「さかえ」の発行と、10・11月に「糖尿病週間」を設定し、全国で糖尿病に関する旬の話題を提供するシンポジウムなどを行うこと。
全国にある友の会では、定期的に医師を囲んで糖尿病についての勉強会を実施したり、食事療法の理解を深めるための料理教室や運動療法の理解を進めるためのウォーキングイベントなどを開催したりしているところもあり、糖尿病治療に大切な「医師、薬物、患者の努力」の3つの調和がとれるように努めている。

●選ぶポイント

  • 糖尿病の友の会がある病医院
  • 糖尿病の専門医がいる病医院
  • 質問に的確に答えてくれる医師
  • 講演会などで講演している医師


喘息・アトピー性皮膚炎
喘息(総患者数106万9000人、男55万8000人、女51万1000人)
アトピー性皮膚炎(総患者数27万9000人、男15万3000人、女12万6000人)

NPO法人日本アレルギー友の会
住所:東京都江東区住吉2-6-5 インテグレート村上ビル3F
TEL:03-3634-0865
URL:http://www.allergy.gr.jp/
会員数:約2000名

1969年、同愛記念病院(東京都墨田区)のアレルギー病棟に入院している喘息に苦しむ患者たちによって発足した。その後、患者のボランティア活動と、多くの善意によって支えられて全国組織になり、2002年にはNPO法人に認可された。同会の活動目的は、気管支喘息やアトピー性皮膚炎を主とするアレルギー性疾患に関する正しい知識を広め、患者のQOLの向上に寄与すること。
活動内容は年2回の講演会開催と、月刊の会報『あおぞら』の発行が中心。『あおぞら』には専門医の医療講話、患者の体験談、最新の薬の情報など、患者が求める情報の掲載を心がけている。

●選ぶポイント

  • 必ずしも大病院がよいとは限らない
  • 経験が豊富で、患者の話をよく聞いて質問すべてに答えてくれる医師
  • ピークフローメーターと喘息日誌を重要視する(喘患)
  • 症状に合わせて薬の説明を丁寧にしてくれる医師(アトピー性皮膚炎)


肝臓病
肝がん及び肝内胆管がん(総患者数5万9000人、男4万人、女1万9000人)
肝疾患(総患者数35万人、男20万人、女15万人)

日本肝臓病患者団体協議会
住所:東京都新宿区下落合3-6-21-201
TEL:03-5982-2150
URL:http://members.infoseek.co.jp/sin594/
会員数:約1万名

1971年、故中島弘道医師を初代会長として発足した「肝炎の会」を前身とし、91年に肝臓病患者会の全国組織として改組され、現在に至る。同会には32都道府県83団体の患者会が加盟。(1)肝臓病の正しい知識の普及・啓発、(2)肝がん予防対策の確立と治療法の開発・促進、(3)全国で医療費公費負担の実現、(4)肝臓病患者への福祉の拡充と生活保障の実現、の基本要求を掲げて活動している。
情報収集の方法は各団体によって異なるが、年に数回行われる同会の講演会などで最新の治療方法などの情報を得ることができる。
最近はインターネットも活用されている。ただ、なかにはかなり個人的見解が強いものや宣伝に近いものまであることに注意しなければならないという。

●選ぶポイント

  • 日本肝臓学会認定の専門医
  • 常に新しい知識を持っている医師
  • 症状に合わせた治療ができる専門病院
  • ベテラン看護師に聞くのも1つの方法


脳卒中(総患者数137万4000人、男670万1000人、女70万3000人)

RFM-21会
住所:東京都江東区木場6-6-7-601
TEL:03-5606-9085
会員数:約20名

1997年に、千葉県の脳卒中後遺症を抱える患者が中心となって発足させた会。脳卒中患者は意欲減退が顕著なことから、「障害に負けず、楽しく集う」ことを基本理念にしている。同会の主な活動内容は、年4回発行する会報の編集。会員が1つの場所に集まり、話し合うことが、身体と心の回復につながるという考えのもとで活動を展開している。おすすめの病院の条件は、リハビリには長期間かかるので、患者と適切なコミュニケーションをとれる医師やスタッフがいることだという。

●選ぶポイント

  • リハビリに長期間を要するので、家に近い病院がベター
  • 院内がパリアフリーであること
  • 周辺の環境、建物がきれいであればなおよい
  • 医師、ソーシャルワーカーなど、スタッフのチームワークがとれている
  • リハビリを行う患者のやる気を引き出してくれるスタッフがいる



日本医療企画「ホスピタウン」より



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