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テレビや雑誌などで頻繁に取り上げられている「生活習慣病」。食生活の欧米化やストレス過多の情報社会の到来、運動不足、遺伝的要素などがその原因と言われている。急増する生活習慣病の代表的なものが糖尿病や高血圧、高脂血症、肥満で、平成14年度の厚生労働省の調査によると、糖尿病は約1620万人、高血圧は約3500万人、高脂血症は約2630万人、肥満は約3200万人もの患者がいるとされている。

生活習慣病は放っておくと、3大死因と言われるがん、脳卒中、心臓疾患に結びつく怖い病気だ。同省も医療費の大幅な削減をめざし、積極的に生活習慣病予防に取り組んでいる。生活習慣病を防ぐためには、個人の自覚が一番大切だ。安易に考えていると、とり返しのつかないことになる。




■生活習慣病を理解し気にしている人が多数

「生活習慣病を知っていますか?」との問いに対して、男女とも100%に近い人たちが知っていると回答した。50代の男性は、「朝刊や夕刊でよく目にするので、いやでも知っています」。また40代の女性は、「主人が生活習慣病の1つである糖尿病を患っていますので、知っているというより、当事者そのものです」と答えてくれた。そして、その女性はこう続ける。「主人の食事メニューには、非常に神経を使います。毎日、綿密なカロリー計算をしながら調理しないといけないので大変です。主治医や栄養士からアドパイスをいただいていますが、普通の食事がとれないというのは、本人はつらいことでしょうし、つくるほうも面倒です」
「生活習慣病が気になる人」は男性の7割以上、女性の8割以上と多数を占めるが、その一方、「生活習慣病を知ってはいるが、それほど気にならない」という回答も目についた。50代の女性は、「若い時から食生活や運動不足にならないように注意していますので、私は大丈夫と確信しています」と自信をのぞかせる。
しかし、40代の男性はこんな感想をもらす。「生活習慣病が怖いというのは何となくわかるのですが、がんや脳卒中などと異なり、”生活習慣の病気”というイメージが強く、軽い病気なのかなと感じますね」
生活習慣病という言葉は広く知れ渡っているが、その病名が持つイメージが実体の怖さを中和する役割を果たしているようだ。


■もっとも気になるのは糖尿病。高脂血症には関心がうすい。

「生活習慣病のうちもっとも気になるものは?」という問いに対して、男女ともに糖尿病と回答する人が多かった。
「糖尿病は糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症、心筋梗塞、足壊疽などのさまざまな合併症を引き起こします。そう考えると、一番気にかかりますね」と答えたのは50代の男性だ。60代の女性は別の観点からこう話す。「高齢になると、食べることが楽しみの1つなんですよ。仲間と一緒に旅行に出かけて、一人だけ出された料理を食べられないのは、耐えられませんものね」
さまざまな合併症が生ずることや、食生活の制限をしなくてはならないことが、糖尿病に注意を払う要因となっているようだ。
糖尿病や高血圧に比べて、高脂血症を気にしている人は男女ともに少なかった。高脂血症がどのような病気なのかが、なかなか浸透していないことが原因であると、多くの人たちの意見からわかった。


■食生活や運動に注意を払うが、生活習慣病を恐れない人も多い

生活習慣病にならないために「日頃の生活でもっとも気をつけていることは?」という問いには、食生活か運動と回等。
50代の男性は次のように言う。「仕事がデスクワーク中心ですので、通勤の際にはエスカレーターやエレベーターは使用せず、階段を利用しています。また、時間のある時には自宅の最寄り駅の1つ手前の駅で下車して、40分程度歩いていますよ」
多くの人たちは生活習慣病を気にかけ、食生活や運動に配慮しているが、最後の問い「生活習慣病は怖いと感じますか?」の結果を集計して驚いた。男性の約35%、女性の約22%の人たちが(それほど)怖くないと回答したのだ。先の40代男性のコメントにのぞくような生活習慣病という名前が与えるイメージ、またそれぞれの病気の怖さが、まだ十分に浸透していないことが、このような結果につながったにかもしれない。
そんななか、60代の男性はやけ気味に話す。「現在、糖尿病にかかっていますが、まずい料理は食べたくないというのが正直な気持ち。おいしいものを食べて、それが病気の悪化を招き死んだとしてもしょうがない。どうせ先は長くないんだから・・・」
生活習慣病というマグマが噴出すると、がんや心臓疾患、脳卒中などを引き起こす。すると、自分だけではなく家族にもその負担が重くのしかかる。まずは、自分の意識改革から始めることが、生活習慣病にならない、あるいは乗り越えるための最大のポイントと言える。



日本医療企画「ホスピタウン」より



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