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強い感染力を持ち大流行を引き起こすインフルエンザウイルス



警戒すべきはA型ウイルス 激しい症状で重症化も

インフルエンザウイルスには大きくわけてA型、B型、C型の3種類がある。このうち感染力がきわめて強く、症状も激しいのがA型ウイルスである。
A型ウイルスは変異(形質が変わること)を繰り返すため、有効なワクチンを作ることが難しく、過去にはない型に大きく変異すると世界的な大流行を引き起こす。1968年に香港で爆発的に流行した「香港かぜ」は、6週間のうちに香港で50万人が罹患。その後全世界に広がり、5万6千人以上の死者を出した。
現在流行しているのは、主にAソ連型ウイルス、A香港型ウイルス、B型ウイルスによるインフルエンザ。B型は流行する年としない年があるが、最近では2年に一度の流行がみられる。一方、C型は流行せず、症状も普通のかぜに似て軽症のことが多い。
普通のかぜはくしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどが中心症状だが、インフルエンザの場合は、2〜4日の間、38〜40度の高熱にみまわれ、悪寒、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感などの全身症状が強く認められる。咳、痰、のどや胸の痛み、下痢や腹痛がみられることもある。また、気管支炎や肺炎を併発して重症化することも多いため、体力のない高齢者や乳幼児、呼吸器や心臓などに慢性の病気を持つ人が罹患すると、命にかかわることもある。



低温・乾燥気象の冬季に咳やくしやみで空気感染

インフルエンザウイルスは気温20度前後、湿度20%前後の環境でもっとも活発に動きまわるため、こうした気象条件となる冬季には空気中に多数浮遊している。これを吸い込むことによって感染するわけだ。
特に寒く空気が乾燥したところでは、鼻やのどの気道を走る血管が収縮し、ウイルスや細菌の侵入を防いでいる線毛の動きを鈍くさせる。このため、気道粘膜の抵抗力も弱まり、ウイルスが侵入しやすくなる。ウイルスが気道粘膜に付着すると、猛スピードで増殖し、1〜3日の潜伏期間の後に、急性の感染症状が起こる。
冬に窓を閉め切って乾燥した室内や混雑した電車内、映画舘など閉鎖された空間のなかに、インフルエンザに感染し咳やくしゃみでウイルスをまき散らしている人が1人でもいれば、多くの人が感染してしまうのだ。

インフルエンザとかぜの主な違い
インフルエンザ かぜ(普通感冒)
原  因 インフルエンザウイルス ラノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなど
症  状 ・数時間以内に急激に悪化する
・38度〜40度の高熱
・悪寒、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感などの全身症状が強い
・のどや胸の痛み、下痢、腹痛
・鼻みず、鼻づまり、咳などかぜと同様の症状もみられる
・重症化や合併症の併発で死亡するケースもある
・症状はだんだんと現れる
・軽い悪寒があることもある
・発熱はないか、微熱程度
・鼻みず、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、咳など上気道症状が中心
・重症化することはめったにない


日本医療企画「ホスピタウン」より



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