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その3)感染によって起こる皮膚の病気

体の抵抗力が著しく低下している時だけでなく、健康な場合でも、真菌(カビ)やウイルスが皮膚に感染して皮膚病を起こすことがある。その代表的なものが水虫をはじめとする各種の白癬、皮膚カンジタ症である。また、昔かかった水痘(水ぼうそう)の原因ウイルスが再活性化して起きる帯状疱疹にも注意が必要だ。



白癬

●症状
感染が生じる場所によって、それぞれの呼び名がある。白癬菌が体部に感染したものを体部白癬、股に感染したものを股部白癬(いんきんたむし)、手に感染したものを手白癬、爪に感染したものを爪白癬、頭に感染したものを頭部白癬、毛孔から深く真菌が入り込んで脱毛が起きたものをケルスス禿瘡(とくそう)と言う。
体部や股部の白癬は、小さなブツブツができ、それが輪状に、外側に広がっていく。境界ははっきりしており、輪状の部分には小さな水疱ができ、赤く、炎症傾向が強く見受けられる。中心部は皮膚が鱗のように毛ばだつ。
手や爪の場合は、角質増殖型が多く、小さな水疱ができるものもある。
子どもに多く見られる頭部の白癬は、毛穴に膿疱が生じ、毛が抜けてくるのが特徴。発熱、倦怠感、首のリンパ腺がはれるなどの全身症状が出ることもある。湿疹と間違えやすいので、菌の有無をチェックしよう。

●原因
カピの一種である白癬菌の感染によって起きる。


●治療
発疹部分には抗白癬剤を塗る。手白癬の角質増生型、爪白癬、ケルスス禿瘡の場合は、抗白癬剤を服用する。




水虫

●症状
暖房が発達した現代では、夏だけでなく冬にも水虫にかかる人が増えてきた。1日中靴をはいて動き回る男性はもちろん、仕事をする女性やブーツを好む若い人にも発症しやすい。水虫は足白癬とも言い、足の底、縁、趾(足の指)の間など角質が厚い部分にできる。
水虫には3つのタイプがある。このうち、趾間型は趾の間の皮がむけ、びらん状になつたり、角質が厚くなり皮膚が白くふやけたりするもの。また、小水疱型は、足の底や縁に小さな水疱ができ、鱗状になってはがれ、強いかゆみが起こるのが特徴だ。一方、角質増殖型は、足の底の角質が厚くなり、かゆみは少ないが、亀裂が入ったり、鱗状にはがれたりする。

●原因
前述の白癬と同様、カピの一種である白癬菌の感染によって起きる。汗疱や湿疹、掌蹠膿疱症などとも症状が似ているので、菌をチェックして診断する。

●治療
趾間型、および小水疱型の場合は、1日に1〜2度、抗白癬剤を塗る。治るまでに最低でも1〜2カ月以上、時には1年以上かかることもある。きれいに治ってきても、医師の指示があるまでは、塗り薬を中止しないこと。よくなつてからさらに1〜2カ月続けると再発しにくい。一方、角質増殖型には、抗真菌剤を外用、服用する。大切なのは足を清潔に保つこと。足が蒸れないように、木綿の靴下を着用。オフィスでは風通しの良いスリッパを使用する。家に戻ったら趾間まで洗った後、よく乾かす。




皮膚カンジタ症

●症状・原因
カンジダが脇の下や股部に感染したものをカンジダ間擦疹、指の股の間に発疹ができたものを指間カンジダ症、爪のまわりや爪に感染したものをカンジダ性爪炎、カンジダ性爪囲炎と言い、これらを総称して皮膚カンジダ症と呼ぶ。
カンジダは、健康な人の口の中にも住んでいるカピだが、皮膚の表面にも付着しており、気温や湿度が高くなった時に皮膚炎を起こす。カンジダ間擦疹は脇の下や股部などで増殖しやすい。水を扱う主婦に多く見られる指間カンジダ症は、指の間がふやけた感じになり、かゆみを伴う。カンジダ爪炎、カンジダ爪囲炎は、爪周辺の皮膚が赤く腫れたり化膿するはか、生えてきた爪が褐色や灰色になる。全身的には、糖尿病、免疫不全の状態などが、局所的にはおむつ、間擦部、水仕事などが、それぞれ原因となる。

●治療
湿疹かカンジダ症かは見ただけではわかりにくいので、顕微鏡で見る直接鏡検や苛性カリ法という検査を行い診断をつける。抗真菌薬を1日1〜2回塗ることで治療する。

●日常の注意
夏など高温多湿な時期には真菌も繁殖しやすいので、肌がこすれ合う部分は、汗や汚れをシャワーで流して十分に乾かし、清潔に保つことが大切。下着もまめに取り替え、吸水性のよい木綿を使用すると良い。また、肥満は、肌のこすれを助長するので、減量も必要。手指のカンジダ症の場合は、水仕事をしたら濡れっぱなしにしないで、よく拭き、よく乾燥させよう。




帯状疱疹

●症状・原因
水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した場合、初感染では水痘となるが、その後もウイルスは知覚神経細胞に潜伏し続ける。加齢に伴いこのウイルスの抗体が減少したり、悪性腫瘍に罹患したり、過労やストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが再び活発に活動し、増殖し、発疹が生じる。
発症の1週間ぐらい前から神経痛のような症状があり、やがて知覚神経に沿って片側性に、体幹部では帯状に、紅斑、小水泡などの発疹が出る。その後膿疱、かさぶたになってはがれる。重症の場合は水痘のような発疹が全身に発症する。


●治療
発疹の状態、および血清中の水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価の上昇などから診断がつく。軽症の場合は、抗ウイルス薬の発疹部への塗布と服用で治療する。痛みが強い、症状が顔面、汎発する、基礎疾患がある場合には、抗ヘルペス剤の点滴治療を行う。耐え切れない痛みが続く場合には、神経に麻酔を注入する神経ブロックを実施することもある。




日本医療企画「ホスピタウン」より



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