■内臓や器官をコントロールする神経
私たちの体に張りめぐらされている神経は、脳と脊髄からなる中枢神経と、体の各器官と情報交換を行っている末梢神経とに分かれている。
このうちの末梢神経に属する自律神経は、交感神経と副交感神経の2つからなり、心臓や胃など、自分の意思では動かせない内臓や器官を自動的にコントロールしている。なお、交感神経と副交感神経の働きは正反対で、たとえば心臓の場合、交感神経は心拍数を増やして鼓動を速める一方、副交感神経は心拍数を減らして心臓を安定させる。
■自律神経の乱れは、心身へのストレスが原因
交感・副交感神経は、気温の変化やストレスなど、外界の刺激に合わせ、バランス良く柔軟に対応しながら、内臓や器官の働きを一定に保っている。ところが、外界の刺激が長時間続いたり、許容範囲を超えると、交感・副交感神経は大きく揺らぐ。それをもとの安定した状態に戻そうとするあまりバランスが崩れてしまうと、結果として心身に不調が現れてくる。これが自律神経の乱れによる心身の不調だ。
この自律神経を乱す主な外界の刺激は、心身のストレス、不規則な生活、ホルモンのアンバランスの3つ。乱れやすいタイプの特徴は、神経が細かく、完璧をめざして悩んだり、健康を気にしすぎたり、なかなか太れないような人で、女性に多い。こういった性格の人が仕事や人間関係で悩みを抱えたり、長時間の強いストレスを受けたり、不規則な生活で疲労がたまったりすると、自律神経に乱れが生じる。
さらに、ホルモンの働きも関係していて、月経異常や月経困難などの症状を抱えていたり、妊娠中、出産後、更年期などのために女性ホルモンの働きが悪いと、自律神経にも大きな影響を及ぼすようになる。
■検査で異常がない場合、心療内科を受診しよう
心身の不調はあるものの、内科などで検査をしてもこれといって異常がないという場合は、本人だけでなく周囲の人も「気のせい」「仮病」などと考えてしまいがちだが、あきらめて放っておかず、心療内科を受診しよう。
心療内科では、血液検査や]線検査などのほか、面接、心理テストなどから診断をつける。一般検査を行うのは、自律神経の病気以外に、自律神経を乱すような内臓の病気や、もっと症状の重い心の病気が隠れていることがあるからだ。
自律神経の乱れが原因と判明すれば、ストレスを解消し、不快な症状を排除する適切な治療として、心理療法、薬物療法、理学療法、生活指導が行われる。
|