■マイナスな考え方を変えるABC思考法
認知行動療法の1つに「ABC思考法」がある(AはAFFAIRS・出来事、BはBELLIEF・思い込み、CはCONSEQUENCE・結果、あるいは結果として起こる感情や行動)。
たとえば、会議中に電話が鳴る(A)と、うるさいと思う(C)のは、常識的な感情だが、「会議中は静かにすべき(B)」と思い込んでいると、不快感はかなり強くなる(C)。しかし、「この電話は仕事成立の知らせかも」と期待していると(B)、電話の音は快適に聞こえる(C)。
このように、Bの思い込みでCの行動は左右されるわけだが、一方で、Bの思い込みを変えれば、Cの結果も不快から爽快に変えることができる。自分が抱きがちな、「マイナスなものの見方や考え方、受け止め方」を見つけて変えていけば、現実にうまく適応した行動をとることができるはず。快い気分を得られて、自律神経の乱れも改善するというわけだ。
たとえば、「上司に叱られた。ひどく落ち込んで、気分が悪い」という状況の時、どうして落ち込むのかを考えてみる。「自分は完璧な人間なのに、上司は自分を認めていない」など、理由はそれぞれだろうが、それはあくまでも自分のものの見方であり、思い込みに過ぎない。そこで、自分のとらえ方を、「人間には良い面も不完全な面も多くある。自分がもっと良くなるように上司が指導してくれている」と変えると、上司に叱られても不快を抱かず、プラス方向に持っていくことができる。ストレスを避けたことによって自律神経は乱れず、心身の不快症状も現れない。
落ち込むことがあった時は、このABC思考法をあてはめて、ものの見方をちょっと変えてみよう。みるみる元気がわいてくるはずだ。
■心の安定を図る自律訓練法
ストレスなどによって興奮すると交感神経は活発になり、ますます興奮して、力も入ってくる。これを静めるのが副交感神経だ。この副交感神経の働きを高め、自律神経のリズムを整えて、心身をリラックスさせ、心の安定を図るのが「自律訓練法」である。
これは一種の自己暗示で、暗示をかけることによって心と体の緊張を解きほぐし、日常の行動をゆったりした状態に変えていく。ドイツの精神科医シェルツによって提唱されたもので、準備段階の背景公式、自律訓練の6段階公式、そして自己暗示を解く消去動作からなる。このうち、背景公式と、2段階の公式、消去動作を身につけ、普段の生活に取り入れて、食後、入浴後、就寝前などに行うと良いだろう。
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