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Q)目の前に「糸くずのようなもの」がみえる どのような病気なのでしょうか?

昼のあいだ、目の前に「糸くずのようなもの」が絶えず見えています。夜のあいだや、昼でも日陰では見えません。このような症状が出るのはどういった病気なのか、治療法などはあるのか教えて下さい。痛みはありません。なお、以前眼科医から、この症状について「後頭部の視神経を圧迫しているのではないか」と言われ、MRIで検査しましたが、「脳動脈硬化の一歩手前だが治療の必要はない」との結果でした。
(71歳/男性/会社員)

A)加齢のための硝子体剥離で心配ありません。

このような症状を医学的に「飛蚊症」と呼んでいます。この濁りには、生理的なものと、病的な原因によるものがあります。
1)母体内で胎児がつくられる途中では、硝子体に血管が通っていますが、眼球が完成する時になくなっていくのが普通です。しかし、生まれた後も血管の名残が硝子体に残存し、「濁り」となることがあります。この飛蚊症は、若年者に多く、生理的なもので健康な目にも起こるものですから、症状が進まない限りはあまり気にしなくても大丈夫です。
2)年をとると硝子体はゼリー状から液体状に変化し、硝子体は次第に収縮して網膜から剥がれます(硝子体剥離)。急に丸い輪や、Cのような形の飛蚊症が現れますが、生理的な現象です。また、若い人でも、強度の近視の場合にはこの硝子体剥離が早期に起こります。出始めは濃く気になりますが、半年くらいたつと次第にうすくなっていきます。
3)飛蚊症を初期状態とする病気は、網膜剥離、網膜裂孔、硝子体出血、眼底出血、ぶどう膜炎などがあります。見える飛蚊症の数が桁違いに増えたり、形が変わったり、視力が落ちるなどの急な変化があったら、必ず眼科医を受診してください。

質問の方は、おそらく2番目の硝子体剥離と思われますが、心配はないと思います。
飛蚊症のほとんどが病気ではないものですが、ときに思いがけない病気が原因となっていることがあります。症状を感じたら早めに眼科で検査を受け、医師の指示に従ってください。早期発見、早期治療があなたの目を守ります。




Q)アレルギーについて知識を深めたい 生活の中で気をつけることは?

自分が子どもだった頃と比べて、色々な種類のアレルギーを持つ子どもが増えているように感じています。現在、自分の子ども(8歳、6歳)はアレルギーを持っていませんが、これから持ってしまう可能性を考えて、アレルギーに関する知識を広められたら、と思います。生活の中で気をつけられることなどありますでしょうか。
(34歳/女性/主婦)

A)毎日の生活習慣と家庭環境に気をくばって

ご指摘のとおりアレルギー性疾患に悩む人は増加しており、発症年齢の低下も指摘されています。例えば、わが国の小児喘息患者数は少なくとも150万人と言われます。喘息の発症は2〜3歳がピークで、5歳までに90%が発症し、就学してから喘息になるのは一握りにすぎません。ですから専門医は「早期介入」を合言葉に、乳幼児期からの診断・治療に積極的に取り組んでいます。
アレルギーはアトピー体質と呼ばれる遺伝的な要因に加え、ダニ、ホコリ、花粉、カビ、ペット、化学物質などの環境要因が複雑にかかわっています。また、高たん白・高脂肪の食事も増加の一因とされています。近年、加工食品への依存度が高まっていますが、食品添加物(着色料、防腐剤)や農薬でも蕁麻疹(じんましん)や喘息発作を起こすことが知られていますので、食生活への配慮が望まれます。大気汚染や水質汚濁(環境ホルモン含)をはじめ、屋外の化学物質の氾濫を個人で抑えるのには限界があります。並行して行政レベルヘの働きかけが必要でしょう。
幸いお子さんにはアレルギー様症状がないようですから心配ないと思いますが、室内の環境整備や規則正しい生活習慣(快食、快通、快眠)、適度な運動を心がけてください。
心身のストレスや自律神経の失調、特に女の子の場合は思春期になって生理が始まって悪化することもありますから、今後とも注意は必要です。アレルギー反応はいわば生体の防御反応の行き過ぎであり、誰にでも起こり得るものです。心配であれば一度アレルギー検査を受けてはいかがでしょうか。




Q)お酒を飲むと赤い斑点がでる 痛みや痒みはないのですが・・・

私は全くアルコールが飲めません。無理にすすめられて飲むと、少しばかりの気分の向上はあるのですが、その後全身に赤い斑点があらわれます。その斑点はしばらくすると消え、痛みがあったり、痒くなったりすることはないのですが、何かの病気では?と不安になります。病院で診察を受けた方が良いのでしょうか?
(29歳/男性/会社員)

A)アルコールヘの反応には個人差がある

ご質問の方はアルコールがまったく飲めないとのことです。飲料となっているアルコールはエタノールです。メタノールは毒性があり、飲酒に用いることはできません。飲酒するとアルコールのほとんどは胃粘膜から吸収されて、門脈を通って肝臓に送られます。アルコールは脳に対して酩酊感を起こしたり、末梢の血管を拡張する作用を持ちます。
アルコールは肝臓で代謝(分解)されますが、ご質問の方のように、アルコールに弱い人は、肝臓でアルコールを分解するときに働く酵素の量が少なく、働きが弱いためアルコールの分解速度が遅くなります。アルコールはその分解過程で人体に有害なホルムアルデヒドになり、その後分解されて酢酸(お酢)に分解されます。酢酸はエネルギー系で徐々にエネルギーを放出しながら最終的に二酸化炭素と水とに分解されます。
この中で特にホルムアルデヒドは毒性があり、ホルムアルデヒドから酢酸に分解する酵素が弱い人は、ホルムアルデヒドの濃度が高くなり、吐き気が強くなったりします。このような人は、お酒を飲んでも吐き気ばかり起き、よい気分のときがないので、ほとんどお酒を飲むことはしないでしょう。
ご質問の方は少し気分の高揚があるようですから、エタノールの脳への作用があり、またホルムアルデヒドヘの分解が遅いために、アルコールの血管拡張作用が強く起きた結果、皮膚の赤い斑点としての所見がでているようです。病気ではなく、アルコール不耐症の所見だと思われますので心配ありません。




Q)痛くて首を左側に動かせない 心臓関係の病気か心配です。

慢性的な寝違いに悩んでいます。朝、起床すると左側の首筋から背中の肩甲骨にかけて激しい痛みが生じます。右側への首の回転は楽なのですが、左側・上下方向へは激痛のため、首を動かすことができません。特に肩甲骨あたりの痛みがひどく、家族にその部分を押してもらうと少し楽になります。場所が左側だけに生じることから、心臓関係に問題があるのではと少し不安になっています。
(32歳/女性/主婦)

A)頚椎椎間板の変性や骨変化からの痛みの可能性

現在の症状より考えますと、慢性的な寝違いや心臓関係の痛みより、むしろ頚椎椎間板の変性によって起こる頚椎椎間板ヘルニアか頚椎の骨変化によって起こる頚椎症神経根症による痛みのようです。いわゆる寝違いと言われるものは、朝起床してみると頚部に強い痛みがあり、動かすことができなくなる現象です。ほとんどの場合は安静にしていると3〜4目で軽快します。心臓に起因する痛みの場合は背部や胸部にかけての痛みが安静時にもみられ、頚部を動かすという運動痛はみられません。
まずは整形外科的に正しく診断することが大切です。徒手的に神経圧迫検査を行い、頚椎を後屈した時(ジャクソンテスト)、これに患側への側屈を加え頭部より圧迫を加えた時(スパークリングテスト)、患側の肩から上肢にかけて電撃様の痛みとしびれが走れば頚椎症性神経根症が疑われます。X線検査で椎間板の狭小化や椎間孔への骨棘の突出具合を確認したり、MRI検査で椎間板の変性や神経の圧迫の程度を確認することも必要です。
治療としてはまずは安静を保ち、頚部に負荷をかけないことが第1です。痛みが強い場合は頚椎カラーを着用することもあります。
薬物療法としては消炎鎮痛剤、筋弛緩剤の内服薬や湿布剤を用います。また物理療法として牽引、電気治療を行います。しかし、牽引すると痛みが増強することもあり、その場合は中止します。
これらの治療で軽快しない場合は入院してベッド上での維持牽引療法や注射によるブロック療法を行います。それでも痛みが強くみられる場合や、上下肢の運動痛が出現した場合は手術治療を行います。




日本医療企画「ホスピタウン」より



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