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Q)中耳炎だけど、泳ぎたい! どのような点に気を付ければよいのでしょうか?

慢性の中耳炎なのですが水泳を習いたいと考えております。防水対策など、どのようにすればよいのでしょうか?鼓膜に空いた孔の有無などで、水泳が可能か不可能か決まると聞いております。中耳炎とはどのような原理で起こる病気なのか、種類はあるのか−改めて知っておきたいのですが・・・。
(47歳/男性/会社員)

A)中耳炎の種類によって、水泳可能な場合も

中耳炎には以下の3種類があります。
まず、真冬の寒いさなか、風邪をひいていた子どもが突然耳の痛みを訴える急性中耳炎。次に、耳の鼓膜の内側に水のような炎症性の液体が貯留して、ひどく聞こえが悪くなる浸出性中耳炎。そして子どもの頃に急性中耳炎などに罹患し鼓膜に孔が開いてしまっていたのを、そのままにしてほったらかしていた慢性中耳炎、の3種類です。
急性中耳炎は、風邪をひいた際にのどのばい菌が、耳管というのどの奥と耳とを繋いでいる管を通じて中耳腔(鼓膜の内側のスペース)に入り、そこに膿汁が充満し鼓膜を内側から強く圧迫するため痛みを生じます。浸出性中耳炎は、耳管の機能が衰えて中耳腔の換気がうまくいかず、鼓膜の内側に液体の溜まってしまう状態です。この治療として、鼓膜に換気のための細いチューブを入れておくことがあります。一方、慢性中耳炎では、普段は聞こえの悪化以外は何の症状もないことが多いのですが、風邪気味の時などは感染を起こして耳垂れが出て、一層聞こえが悪くなることがあります。
これらのうち水泳禁止なのは、急性中耳炎、また慢性中耳炎の耳垂れの出ている時期の患者さんです。
溢出性中耳炎は原則として、水泳可能です。ただし、溢出性中耳炎でチューブの挿入されている場合と慢性中耳炎で耳垂れの出ていない時期には、次のような注意を守ってもらえば水泳可能です。
まず、外耳道(耳の穴)を密閉できる耳栓を使用すること、そしてその耳栓の上からスイミングキャップを被り、耳栓が脱落しないようにすること、の2点です。この際、飛び込みと潜水は控えた方が賢明です。ご相談の方も、以上の点に注意してくだされば、水泳をしても大丈夫だと思います。




Q)立小便ができず辛い思いをしている 改善する方法はありますか?

ポリオの後遺症のため「男性型排尿」が全くできません。立小便をすると、(1)通常110‐65前後の血圧が70−50程へ急降下、(2)両足がびしょ濡れになる、(3)ペニスの棒部分に伝わってお尻にまで尿が回る(疲れて来ると必ず起こる)、(4)排尿前後10分以上膀胱周辺に痛みがある、などの症状があります。会社のトイレでは個室に入りにくいため、他人にもばれてしまい「男のくせに」などと言われ辛い状況です。どうしたら解決出来るでしょうか?
(51歳/男性/会社員)

A)排尿の悩みはQOLの問題専門医に受診してみて!

排尿のメカニズムは、大脳、視床下部自律神経中枢、脊髄、骨盤内末梢神経などの中枢神経、末梢神経といった、神経による支配と、膀胱の筋肉、尿道括約筋の筋肉による支配、そして男性においては前立腺による排尿調節から成り立っています。
ご質問の”ポリオの後遺症のため”という内容からは、脊髄及び末梢神経支配の面からお答えするのが説明に適当かと考えられます。
まず(1)血圧の急低下は、自律神経の交感神経の働きが弱い時にみられる症状です。急に立ちあがる時、交感神経が働いて血管を収縮させる機能が弱いと低血圧がみられます。入浴後に冷水を足にかける訓練、運動療法が有効です。(2)両足が濡れる点ですが、神経因性膀胱という状態で膀胱の収縮力が弱い時に見られます。ベサコリンやウブレチドという薬で勢いがよくなることも期待できます。(3)お尻に尿が回ってしまうことについては、(2)と同様に神経因性膀胱が原囚となるほか、緊張してあまり尿が溜まっていないのに尿をしたくなった時、無理に排尿しようとして起こる症状です。最後に(4)の膀胱の痛みは、膀胱の働きが弱い時、また膀胱炎、慢性前立腺炎の時にも痛みを感じます。排尿前後の膀胱の超音波検査で残尿の有無を、また検尿により炎症の有無を診てもらうとよいでしょう。
排尿の悩みはQOL(生活の質)の悩みにつながりやすいものです。お薬で調整可能かどうかは、泌尿器科の専門医にご相談される方がよいかと思います。少しの勇気を出してご相談してみてはいかがでしょうか。




Q)もしかしてチックかもしれない・・・ 息子にどう対応していいのか分からない

小学2年生の息子がいます。最近、まばたきの仕方や顔のちょっとした動きがどうもおかしく、もしやチックではないかと感じております。生活に支障はないものの、どうしても気になってしまい、病院へ行くべきか悩んでおります。何かストレスとなることを抱えているのか、やめるよう注意してもいいのか、対処法をお教えください。学校でいじめの原因となりはしないか不安でいっぱいです。
(40歳/女性/主婦)

A)チックは心因性の病気ではありません

小児期の、特に男児に多いまばたきや顔しかめは、チックの可能性が高いといってよいでしょう。チック症は6歳前後にまばたきで始まることが多く、他に顔しかめ、首ふり、肩を揺らす、鼻すすり、咳払いなどがしばしば見られます。運動チックと音声チックに分類され、それぞれ単純なものから複雑なものまで多種多様。環境状態で変動しますが、自分の意思である程度とめることも可能です。通常睡眠時には見られません。チックには性差がみられ、男児に多いことが特徴です。
チック症は、その種類、持続時間により次の4種類に分類されます。1、2種類の単純なチックが短期間(通常2、3ヵ月)出現し消えてしまう小児期の一過性チック症、単純な運動チック又は音声チックが1年以上変勤しながらも続く慢性運動又は音声チック症、音声チックを伴い複数の運動チックが出現し、変動しつつ1年以上の経過を取るもの(トゥレット症候群)です。
チックの原因として一般的に心因説がいわれますが、それは誤り。近年チック症は脳内の主としてドーパミン神経系の発達過程における機能的異常によるものと考えられています。対応としては、チック症について正しく理解することが大切です。チックは、基本的には環境のせいでも親のせいでもありません。本来の生活規律を守るよう指導し、しつけも通常の同年齢の子どもと同じで大丈夫。その上で慢性の経過を取る時、または複数のチックが見られる時は専門の医師を受診しましょう。残念ながら、チック症について正しく対応できる医師は比較的少ないのが現状。ご両親もチック症について十分に勉強する必要があるでしょう。心理療法やカウンセリングは行わないようにして下さい。




日本医療企画「ホスピタウン」より



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