ポリオの後遺症のため「男性型排尿」が全くできません。立小便をすると、(1)通常110‐65前後の血圧が70−50程へ急降下、(2)両足がびしょ濡れになる、(3)ペニスの棒部分に伝わってお尻にまで尿が回る(疲れて来ると必ず起こる)、(4)排尿前後10分以上膀胱周辺に痛みがある、などの症状があります。会社のトイレでは個室に入りにくいため、他人にもばれてしまい「男のくせに」などと言われ辛い状況です。どうしたら解決出来るでしょうか?
(51歳/男性/会社員)
A)排尿の悩みはQOLの問題専門医に受診してみて!
排尿のメカニズムは、大脳、視床下部自律神経中枢、脊髄、骨盤内末梢神経などの中枢神経、末梢神経といった、神経による支配と、膀胱の筋肉、尿道括約筋の筋肉による支配、そして男性においては前立腺による排尿調節から成り立っています。
ご質問の”ポリオの後遺症のため”という内容からは、脊髄及び末梢神経支配の面からお答えするのが説明に適当かと考えられます。
まず(1)血圧の急低下は、自律神経の交感神経の働きが弱い時にみられる症状です。急に立ちあがる時、交感神経が働いて血管を収縮させる機能が弱いと低血圧がみられます。入浴後に冷水を足にかける訓練、運動療法が有効です。(2)両足が濡れる点ですが、神経因性膀胱という状態で膀胱の収縮力が弱い時に見られます。ベサコリンやウブレチドという薬で勢いがよくなることも期待できます。(3)お尻に尿が回ってしまうことについては、(2)と同様に神経因性膀胱が原囚となるほか、緊張してあまり尿が溜まっていないのに尿をしたくなった時、無理に排尿しようとして起こる症状です。最後に(4)の膀胱の痛みは、膀胱の働きが弱い時、また膀胱炎、慢性前立腺炎の時にも痛みを感じます。排尿前後の膀胱の超音波検査で残尿の有無を、また検尿により炎症の有無を診てもらうとよいでしょう。
排尿の悩みはQOL(生活の質)の悩みにつながりやすいものです。お薬で調整可能かどうかは、泌尿器科の専門医にご相談される方がよいかと思います。少しの勇気を出してご相談してみてはいかがでしょうか。
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