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Q)平熱と血圧が下がった 過労のせい・・・?

ここ1年くらいの間に、平熱・血圧がともに下がりました。36度台の平熱だったのが、半年ほど前、それまであまり経験したことのない「35度台」の体温を測定。また1年前の健康診断で、それまでより血圧の測定結果が低かったのです。就職とともに仙台から東京へ出てきて2年になります。日々仕事で忙しく、過労によるものではないかと思っているのですが、過労で血圧や体温は下がるものでしょうか。また放っておいてもよいものでしょうか。
(24歳/女性)

A)運動不足のために基礎代謝が下がったと考える

一般的に血圧はそれほど頻回に測定することはないと思います。特に高血圧症といわれている方以外は、検診ごとに測るくらいではないでしょうか。そのため、どの血圧がご本人の平均血圧であるかは分かりづらいものです。血圧が「上がった」「下がった」といっても、どの血圧を基準にすればよいかは分かり難いでしょう。
しかし、体温はどなたでも頻回に測ることがあり、自分の平均体温がどれくらいかはよく知っていると思います。したがって平均体温の低下は間違いないものと思われます。
過労は血圧低下の原因になるかということですが、どちらかといえば、過労によりストレス過剰の状態になれば血圧は上昇すると考えられます。ストレスにより、昇圧に作用するステロイドホルモンが過剰になるからです。また、精神的興奮状態が長く持続するような過労状態では、精神的な影響を交換神経が受けて、血圧は上昇するでしょう。
ただし過労によって体重減少などの全身症状があれば、循環血液量も減り、血管抵抗も低下するので、血圧は下がる可能性があります。体温も、過労で体重減少などが起きた場合は下がるでしょう。
しかし、ご質問の方の場合は、仕事が忙しいために運動できず、筋肉量が減ってしまい、基礎代謝が下がって血圧や体温が下がったか、もしくはストレスからうつ状態とまでいかなくても、自律神経系が副交感神経優位になっているために血圧も体温も下がったと考えるのが一般的です。
どちらにしても健康のために軽い運動はしましょう。リズムを持った生活はうつ的状況も改善しますし、基礎代謝の低下も予防できます。




Q)下痢と便秘をくり返す 過敏性腸症候群でしょうか?

私は以前から腸が弱く、よく下痢をしていましたが、ここ半年ほどは、下痢と便秘をくり返します。排便のあともなにか残っているような感じがしますし、おならがよく出て、臭うのも気になります。この半年というのは急に仕事量が増えた時期で、責任も重くなり、きっとストレスがかかっているのだろうと思います。いわゆる「過敏性腸症候群」というものでしょうか。正常な排便に戻すための対処法を教えて下さい。
(32歳/女性)

A)身体・精神両面からの対処が必要

「過敏性腸症候群」とは、食道から大腸までの全消化管に、主に精神的負担がかかることで、消化管が本来持っている消化吸収調節機能が障害された状態を指します。
この病気は、先進国では人口の2割前後いるといわれています。若い方に多く、半数以上は35歳以前に発症します。性別を見ると、女性に多い傾向にあります。
主な症状は腹痛と便通異常です。一般に、女性では便秘型が、男性では下痢型が多いとされています。
お問い合わせの方の場合、32歳の女性で、最近仕事のストレスが多く、「便秘と下痢を繰り返す症状」ということから、過敏性腸症候群と考えていいと思います。
対処法ですが、この病気は、腸管の機能亢進による症状の発現に、心因的要素が大きく関与しています。そのため、治療に際しては身体面および精神面の、両面からのアプローチが必要となります。
主な治療法は、薬物療法、心理療法、生活指導です。まず、腸管の働きを抑える薬、乳酸菌製剤、便軟化剤などを使用して様子を見ます。それで改善しない場合には、心療内科の医師にご相談なさるのもよろしいかと思います。
生活面での注意点は、適度な運動やレクリエーションで緊張をほぐし、休養と睡眠を充分にとることです。精神的にも肉体的にも、ストレス負荷を少なくしてください。
食生活では、カレー、唐辛子、ワサビなどの香辛料や、冷たい飲み物、タバコ、それに過度のアルコールは避けたほうがよいでしょう。




Q)高齢出産について知りたい そろそろあせりはじめたけれど・・・

私は今31歳で、特別な相手もおらず、結婚の予定もないのですが、やはり出産のことを考えるとあせってしまいます。高齢出産、高齢出産と言いますが、実際のところ、何歳まで大丈夫なのでしょうか。また、今からの心構えとして、どのような点に注意するべきでしょうか。
(31歳/女性)

A)リスクは年齢だけでは判断できない

30代後半で妊娠ふ・出産することを、一般に「高齢出産」と呼んでいます。医学用語には「高年初産婦」、つまり高齢(35歳以上)で初産を迎える人を指す言葉がありますが、初産婦・経産婦を区別せず、年齢に注目して分類する高齢出産という見方が、ここ10年くらいで一般的になっています。分娩のみに焦点を当てれば確かに初産にはより注意が必要ですが、妊娠から含めてトータルに見れば、流産率の増加、妊娠中毒症など、経産婦であっても起こりうる共通の問題があります。
妊娠・出産のリスクは年齢だけで判断できるものではありません。たとえば35歳の初産でも20歳と同じくらい安産の人もいれば、反対に20歳で難産の人もいます。しかし、総体的には35歳では20歳よりも生活習慣の積み重ねがあるわけですから、その分、リスクが高いのは確かだと言えるでしょう。
本人がこれまで送って来た生活や血圧、肥満傾向などの健康状態、遺伝なども含め、自分がどのようなリスクファクターを持っているのか、把握しておくことが大切です。
仕事の忙しさや、「婦人科」への抵抗感もあって、30代半ばではじめて婦人科にかかる人も多いのですが、そこで卵巣嚢腫や子宮筋腫などが見つかることも少なくありません。しかしそれらの異常が見つかっても、妊娠してからの発見ではできる治療は限られてしまいます。妊娠の予定がなくとも、婦人科にかかり、定期的に検診を受けて、来るべきときに備えましょう。「30歳を過ぎたら」などと言わず、20代前半から健康管理を心がけてほしいですね。
なお、高齢出産を迎える人はよく、「年齢が高いからしっかりしているだろう」と思われてしまいがちですが、仕事をバリバリやっている30代後半の人でも、20歳の学生でも、初産は初産。妊娠・出産に関するリスクや不安は、年齢に関係なく、人それぞれにあるものです。





日本医療企画「ホスピタウン」より



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