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Q)これはうつ?・病院に行くべきか分からない

ここ1〜2ヵ月ほど、うつのような状態に陥りました。ひどい時には、楽しみにしていた飲み会に1時間以上遅刻。自分では楽しんでいるつもりが相当落ち込んでいたようで、「つまらないなら来なければいい」と友人が怒り出すほどでした。なぜ怒られるのか分からず、困りました。今は無事、回復。最近、「擬態うつ病」「仮面うつ病」という言葉を知り「私はこれだったのかな」と思ったのですが。本当のうつ病と、「怠け」との区別がつきません。単なる怠けで病院には行きたくないし。またあの状態になったらどうすればよいのでしょうか。
(24歳/女性)

A)うつは、活動したいのに、思うように体も心も動いてくれない状態

「怠け」と「うつ」の違いですが、「怠け」というのは、自分の意思でそうしている、招いている状態です。つまりそうしたいから、そうしているわけです。従って、本人に苦痛感はありません。
それに対して、「うつ」の方は自分の意思で招いている状態ではありません。自分では本当は働きたい、活動したい、あるいは動かなくてはと思っているのに、体が思うようにいうことを聞いてくれない、心が動いてくれないという状態のため、本人はそうなっていることがとても苫痛です。これは、自分のことだから基本的には本人が分かるはずなのですが、初めてうつになった方は、自分の思い通りにいかない状態に戸惑ってしまい、自分で説明かつかないという方も少なからずいます。
そういう場合、外から見ると一見怠けているのと区別がつかないため、周りに「怠けているんだろう」と言われた結果、本人も「これは怠けなのか」と思ってしまうのが、うつの危険なところです。
怠けているだけなら(怠けるのにも何か大事な理由がある場合は別として)励ましたり、頑張らせればうまくいく場合もあります。しかしうつの場合、本人も戸惑っているところに、周りが励ましたり頑張らせたりするとますますうつがひどくなって、最悪の状態に陥ってしまうこともあるわけです。ですから、困った場合は遠慮なく病院へ行ってください。医師が判断してくれます。
なお、お尋ねの「仮面うつ病」というのは、一見うつの症状はなく、体の症状(腰痛など)しか見られない場合をいいます。「擬態うつ病」という言葉を私は知りませんが、一見うつ病の症状があってもうつ病ではない場合がありますので、そのことをいうのかもしれません。




Q)成長と共に大きくなるほくろ。早目に切除した方がよい?

小学2年生の娘のことで相談があります。足の裏に約2cm大のほくろがあります。色は黒く、膨らみはありません。ただ、成長とともにそのほくろも大きくなっており、医師には将来的には切除することもできるといわれています。注意をしておくようにいわれ、定期的に写真を握り記録をしています。普通、このようなほくろは切除すべきなのでしょうか?
(42歳/男性)

A)悪性化する危険性は低い。切除は、大人になってからでも遅くありません

お嬢さんの足のほくろは、恐らく母斑細胞性母斑というものでしょう。
出生時からみられる母斑細胞性母斑は、悪性化する危険性はそれほど高くありません。途中で現れたほくろで、急に大きくなるものの方がどちらかといえば危険なのです。
ただし、気になって爪切りでむしったり(たまに自分で取ろうとする方がいます)、何かを踏んづけてほくろ部分が出血してしまったりした場合は、悪性化することがありますので医師に診せた方がよいと考えます。
全てのほくろは悪性化する可能性があります。お嬢さんの足の裏のほくろも、急に大きくなってきたり、出血するなど、自覚症状がでてきたら、皮膚科医に診せた方がよいでしょう。
成長に合わせて足の裏の皮膚が伸びるとともに、ほくろも大きくなります。しかし、成長とともに大きくなるのは悪性化の所見ではありませんので、気にしなくても大丈夫。小児期に悪性化することはまずありません。それでもやはり気になるので取ってしまいたいという場合は、足の裏に麻酔の注射をしても我慢できる年齢になるのを待ってもよいでしょう。大人になってからでも全く問題ありません。
経過を見るのに、定期的に写真などで記録しておくのはよい方法。ただ、回数は年に1回くらいでもかまいません。そのほかに、年に1回皮膚科を受診して、カルテに記録をとっておいてもらう方法もよく取られます。この場合はカルテと照らし合わせ、切除した方がよい場合を医師に診断してもらうことができます。




Q)親知らずに虫歯が。痛くないけど治療すべきなのか・・・

歯科医院で治療を受けた際、レントゲンを撮りました。その結果、治療をする予定ではなかった「親知らず」が虫歯であることが判明。まっすぐ生えていない歯で、歯肉に隠れ表面からは見えない箇所が虫歯だったようです。レントゲンに黒くうつっていました。まだ痛みは全くないのですが、先生によるといずれ痛くなるとのこと。将来的に、抜く必要があると言われました。「とりあえず痛くなるまでは」と放っておいているのですが、さっさと抜いた方がよいのでしょうか?
(29歳/女性)

A)放置は駄目。よく主治医と話し合って治療計画を立てましょう

歯科治療においても、「インフォームド・コンセント」(説明と同意)が重要であり、充分な説明を受けて納得した上で治療法を選択してください。
まず、「親知らず」とは第3大臼歯の俗称で個人差がありますが、おおよそ17〜21歳頃に萌出することが多く、数年で歯根が完成するといわれています。まっすぐに生えていないとのことですが、これは「親知らず」が生えてくるスペースが不足していたことが原囚かと考えます。また、第2大臼歯までの歯並びが完成した後に所出するため、噛み合わせに悪影響を及ぼす場合があり、噛合や顎関節の検査が必要となることもあります。
虫歯とは、口腔内の常在菌の巣であるプラーク(歯垢)の中で、ミュータンス菌が糖質をエサにして虫歯の原因となる強い酸をつくり歯を溶かすことです。現在では、感染症である虫歯や歯周病を、口腔内の原囚菌をコントロールすることで治療する方法があります。1本の歯のみで考えるのではなく一口腔単位で治療計画を立ててもらい、定期的に通院することをおすすめします。
現在、虫歯に痛みはないとのことですが、象牙質に進行すると痛みが出る可能性があり、放置しておくことはおすすめできません。総合的な診断で抜歯の必要性を認めた場合、抜歯という外科処置に対してどのような方法で行うのか、またその危険性や注意点などについて、術前に歯科医師より客観的に詳しい説明を受けることが重要です。そのうえで治療法の選択について、充分に考える時間を持った方が良いでしょう。
なんといっても、患者と歯科医師の信頼関係が大切です。





日本医療企画「ホスピタウン」より



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