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Q)漢方療法は効果がある?

アトピーの症状改善に明確な効果を示す漢方療法はない。あくまでも補佐的な治療と捉えるべきである。ステロイド外用薬を主体とした標準治療をまったく行わず、漢方療法のみに頼ることは危険だ。軽症でもスキンケアをしっかり併用することが重要と言える。




Q)ひっ掻き傷が絶えない。良い方法は?

かゆくてひっ掻いてしまうことで湿疹がただれたり、かさぶたを剥がして血がにじんだり、見た目も痛々しい子どもは少なくない。かゆみに対しては、ステロイド剤の外用で、ある程度ラクになるが、それでもつらいような時は、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬などを内服すると良いだろう。
また、掻いても、皮膚に傷をつけないように、爪は短く切っておこう。乳幼児の場合は、手袋をはめることも効果的だ。肘や膝、手首や足首なとに限局する場合は、亜鉛薬軟膏をリント布にのばして貼リつける貼付療法も有効である。




Q)布団に入るとかゆくなるのはなぜ?

必ずしも、布団がウールや羽毛だからかゆくなる、というわけではない。布団で体が温まると、皮膚の表面が敏感になり、かゆみを感じやすくなるのが、その原因だ。
体を動かしたり、大泣きすると、体がかゆくなるのも同様。しかし、皮膚の表面が敏感になるだけでなく、流した汗や涙がさらに皮膚を刺激する。
そのほか、入浴後にかゆみを訴えたり、仕事や勉強などから解き放たれたりしてホッとしたとたんに、かゆくなることもあるようだ。
いずれも一時的な症状で、皮膚温度が下がれば、かゆみも治まってくる。かゆみが強い時は、アイスパックで冷やしたりすると良い。




Q)ステロイド剤の使用で皮膚の赤味がとれてきたら外用薬をやめていい?

ステロイド剤で治療しているうちに、アトピー特有の赤味がとれてくると、うれしさのあまリ「ステロイド剤はもう必要ないのでは」と考える人も少なくない。
しかし、皮膚が硬く、分厚いような感じが残っているなら、まだ皮膚は健康な状態には戻っていない。患部の皮膚をつまんで確認してみよう。
赤味がとれて皮膚が硬い状態にもかかわらず、勝手にステロイド剤をやめれば、元の木阿弥。医師の指示があるまで続けよう。
治療薬は、段階を踏んで徐々に弱いものになり、さらに塗る回数を減らしながら、最終的に保温剤へと変更していくのが一般的だ。




Q)食べこぼしで口のまわりが赤くジクジク・・・これもアトピー?

赤ちゃんの場合は、ちょっとした刺激でも皮膚が赤くなる。アトピーの場合は、さらに皮膚の機能が弱いので、湿疹が生じて皮膚炎が広がっていくこともある。食べこぼしやよだれなどは、放っておくと刺激になり、赤くなってシクジクしてくるので、なるべく早く、湯で湿らせたガーゼで軽く押さえるように拭くと良い。こすって拭き取ると刺激になるので注意しよう。さらに白色ワセリンやプロペトを塗って、うすい油の膜をつくっておくと、かゆみは弱まる。




Q)大人になって急に発症することはある?

アトピーは、少し前までは子どもの病気とされていた。1歳前後がピークで、学童になるくらいから減り、思春期までには多くが治っていたからだ。
ところが、1980年代になって急激にアトピーが増え出した。愛知県で行われたある調査によると、81年に2.8%だった4〜15歳児のアトピーの罹患率は、92年には6.5%となり、10年間で2倍強も増えている。その結果、大人のアトピーも増加。子どもの時の皮膚炎が治らずにそのまま移行したり、重症化するのではなく、大人になって新たに発症する例も少なくない。なかでも最近では、20歳代半ばに罹患するケースも増えている。今のところ、はっきりとした原因は不明だが、皮膚の機能をつかさどる自律神経が、社会の仕事や人間関係にまつわるストレスなどで乱れることが原因ではないか、という見方もある。




Q)薬湯なども効果がある?

「ドクダミや桃の葉、ヨモギの葉や大根の葉なとを煎じたエキスを薄めてタライに入れて、そのなかで行水すると皮膚が丈夫になる」「スイミングは皮膚の機能を高める」「海水がアトピ−には良い」など、皮膚のトラブルを解消するさまざまな民間療法がある。
しかし、健全な肌の子どもの皮膚を鍛えることはできても、アトピーの場合は、すでに皮膚機能が低下しているので、必ずしも思うような効果が得られるとは限らない。
かえって、それらの刺激で皮膚の炎症を重くする可能性すらある。アトピー治療では、一般的に、入浴剤なども禁じているくらいなので、皮膚に刺激のあるものはやめたほうが無難だ。
どうしても試したい時は、医師の許可を得てから行ったほうが良い。





日本医療企画「ホスピタウン」より



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