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Q)どこに物を置いたか忘れてしまう ぼけの症状でしょうか?

最近、ど忘れが激しくなりました。洗濯物をしていて、ふと別のことをやりだすと、どこに洗濯物を置きっぱなしにしたのか忘れていたりします。老化現象といえばそれまでなのかもしれませんが、このままどんどん”ぼけ”ていってしまうのかと思うと怖くなります。
(68歳/女性)

A)”ど忘れ”は少々激しくても心配ありません

高齢になるともの忘れが気になるものです。忘れること自体が困るだけでなく、場合によっては痴呆につながる可能性があるからです。もの忘れとは、憶えているはずのことをその時どうしても思い出せない「想起」の障害と、新しいことを覚え込めない「記銘」の障害に分けることができます。ご質問の、ど忘れは主に想起の障害です。よく知っている政治家や俳優が話題になったときに、その名前が出てこないという経験は誰もが持っています。眼鏡や財布の置き忘れやしまい忘れも多いものです。二階に上がったところ、何の用であったのか想い出せず、頭の中が真っ白になったと心配される人もいます。しかし、このようなど忘れを悩む人は、その後調べてみても痴呆に直接つながるわけではありません。そこで、これを「良性もの忘れ」と呼びます。
もう一方は、新しいことを憶えられない場合です。たとえば夕食時、その日にあったことなどが話題になったとします。その中には、憶えておくべき話題もあります。ところが翌日にはそれをすっかり忘れているというタイプです。記憶には新しい情報をとりあえず憶える近時記憶と、その大事な部分を覚え込む長期記憶があります。その覚え込む、すなわち記憶の固定ができないのです。そのうちに、自分の体験したことも忘れるようになります。たとえば、子どもと孫たちが敬老の日のお祝いをしてくれたのに、しばらくすると忘れてしまいます。このような日々の体験を記憶に留めないもの忘れは、アルツハイマー病の初期からよく見られるので、いわば病的なもの忘れです。
したがって、ご質問のもの忘れは良性もの忘れで、ぼけの心配はありません。自信を持ち老後の生活を楽しんで下さい。




Q)就寝時に激しい汗をかいてしまいます。 何かの病気なのでしょうか?

就寝時の「寝汗」に悩んでいます。月に2〜3回程度なのですが、全身から汗が吹き出し、下着やパジャマがびっしょりになります。特に下半身がひどく、上半身からは汗が出ていなくても、下半身だけにかなりの量の汗が出ており、下着やパンツは洗濯後のように濡れています。下半身だけの場合、夜尿症かと調べますが、違うようです。恐い夢なども見ません。何かの病気なのでしょうか?
(29歳/男性)

A)多くの疾患が考えられます内科医の診察を受けましょう。

寝汗と夜尿を簡単に鑑別するには、シーツのにおいを嗅いでみてください。さらに自分で判断したいときは、パンツ型の紙おむつを履いて寝て確かめてください。
発汗の場合に最も多いのは感染症で、一般の熱性疾患で睡眠中の発熱があり解熱、発汗しますが、肺結核、亜急性心内膜炎などの疾患も考慮しなければなりません。さらに、甲状腺機能亢進症症、褐色細胞種、末端肥大症、尿崩症などの内分泌疾患、糖尿病、低血糖などの代謝性疾患、自律神経障害、脳内視床下部の体温調節中枢、発汗中枢の障害、更年期障害(今回は男性なので当てはまりません)でも多量の発汗を生じます。
また、夜尿とは睡眠中にだけ無抑制尿失禁が起こる状態です。新生児の夜尿は生理的なものですが、高位中枢が確立されたあとの夜尿は夜尿症といいます。大半は排尿中枢の障害によるものですが、尿路感染も尿路反射に影響を与え尿失禁を起こしたり、睡眠中の異常脳波(てんかん発作など)で尿失禁を起こすこともあります。前立腺疾患では夜間に限らず尿失禁することがあります。
これまで述べたように色々な疾患があげられますので一度内科か泌尿器科を受診することをお勧めします。




Q)目覚めたとたんに大量の鼻水が原因は何ですか?

以前から鼻炎で悩んでいます。睡眠中は鼻が通っているのに、朝目が覚めたとたんにどっと鼻水が出るのです。原因は何でしょうか?また、私の友人は仕事に集中しているときは鼻が通っているのに、「鼻水が出てない」と気づいた瞬間どっと出る、と話していました。同じ仕組みと理解してよろしいでしょうか?
(28歳/男性)

A)さまざまな説があるが仮説の段階

鼻炎にもいくつか種類があるのですが、ここではアレルギー性鼻炎について解説します。
花粉症などアレルギー性鼻炎の特徴の1つに、モーニングアタックと呼ばれる朝の目覚め時の発作があります。ご質問の方のように、なぜか朝一番にくしやみと鼻づまりが発生するのです。その原因として、夜間アレルゲン(アレルギーの原因物質)であるダニやハウスダスト(家塵)が床上に落下していて、その濃厚なアレルゲンを吸入するためであるとか、朝は人体の自律神経の転換期であるため鼻の粘膜がとりわけ過敏になっているせいだとか、温度変化に敏感になっているアレルギー性鼻炎の鼻粘膜に、朝の冷たい空気が接触するためだとかの仮説が提唱されています。しかし、結論から言うと、これらはまだ証明されていない仮説に過ぎません。
後者については理解することができます。鼻粘膜は、緊張している間は交感神経優位となっており、分泌されたアドレナリンのために粘膜中の血管が収縮しています。ですから仕事などで精神的に緊張していると、鼻粘膜の腫れは治まっています。
それに対してほっとした瞬間には緊張が解け、鼻粘膜は副交感神経優位となります。鼻粘膜の血管は膨張し、鼻粘膜全体の腫れがひどくなります。そして、鼻粘膜の血管から漏出する水分が鼻水となって流れ出てくるのです。
友人の方のおっしやっている、仕事の最中の鼻閉改善と、緊張弛緩時の鼻水とは、こうした機序で説明することができるわけです。





日本医療企画「ホスピタウン」より



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