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海の中の生物に刺される

●クラゲ
海の危険生物といわれるクラゲ。8月下旬になると、クラゲの被害が多発します。日本沿岸に現れて各地で遊泳中の人を襲うのは、カツオノエボシというクラゲです。青またはオレンジ色の気胞体と呼ばれる傘をもち。そこから9〜30センチにも及ぶ触手が伸びています。触手の中には、刺胞という毒の入ったカプセルが多数あり、これに触ると皮膚に刺胞が発射されて毒が注入されます。

刺されたときの応急手当
強い毒があるので、水中で接触すると感電したかのようなショックに襲われます。その直後にやけるような強い痛みを感じ、みるみる間に赤紫色になり、ミミズ腫れができます。皮膚には触手が残っているので、そっと取り除きます。かくと触手の中の未発射の刺胞に刺されて、被害を広げてしまいます。食酢をたっぷりかけてください。痛みや腫れは水や冷水で冷やします。2次感染予防のためにステロイド軟膏を塗ります。症状がひどいときには病院に行きましょう。

●ヒトデ
本州中部から南、熱帯地方のサンゴ礁に棲息しているオニヒトデを、踏んだり、素手で触ったりすると太くて鋭いトゲに刺されます。

刺されたときの応急手当
刺された箇所を中心に強い放散痛があり、まひします。ショック症状に対する処置が必要なので、急いで病院に行き、解毒治療をしてもらいます。




植物にかぶれる

●ウルシ
ウルシによるかぶれの原因はウルシオールという樹液成分です。種類によって樹液に含まれる成分には違いがあり、そのうちのウルシオールが皮膚につくことでかぶれます。敏感に反応する人は、ウルシのそばに行っただけでもかぶれることがあります。

●その他のかぶれる植物
アロエは鑑賞用として栽培されており、薬としての効果も高い植物ですが、人によっては針状結晶や特殊成分でかぶれを起こします。
イチョウには雄株と雌株があり、雌株の黄色い実はぎんなんとして食用になります。この果肉に含まれるビロボールという成分がかぶれの原因となります。
イラクサ科の植物には茎や葉に刺毛があり、触ると皮膚に刺さり、中の毒液が注入されて痛みを感じます。

かぶれたときの応急手当
患部を水でよく洗い流します。かゆみが激しかったり、赤く腫れてひどいときには、ぬれタオルで患部を冷やします。かきむしらないようにして皮膚科に受診しましょう。




虫に刺される

●ハチ
もっとも多く遭遇する昆虫の被害はハチによるもの。とくにスズメバチは大型で毒の量も多いので、刺されないようにすることが大事です。ハチアレルギー体質の人は、何度か刺されているうちに死亡することもあります。ハチが飛んできたら棒で追い払おうとするような行為は、ハチを興奮させるので逆効果。巣を見つけたら、決して近寄らない、立ち向かわない、静かに逃げることです。匂いもハチを刺激するので、野外では香水やオーデコロン、整髪料などをつけるのはやめましょう。

刺されたときの応急手当
毒と血液を一緒に絞り出すようにして、水で洗います。痛みや腫れに対しては、冷たい水や保冷剤などで冷やし、市販の抗ヒスタミン剤含有のステロイド軟膏を塗ります。気分が悪くなり息苦しさを感じた場合には、ショック症状を起こす前触れなので、すぐに病院に行きます。よくハチに刺されたら尿をかける、アンモニア水をつけるといわれますが、効果がなく、かえって局所を悪化させるのでやめましょう。

●アブ
アブは蚊やハエの仲間で、雌が産卵のために人の血を吸います。皮膚に傷をつけて流れる血液を吸うため、刺されたときに強い痛みが走り、腫れと痛みが大きく広がります。渓流沿いに棲息しているので、予防対策として虫よけスプレーを皮膚にも衣類にもかけておきます。

刺されたときの応急手当
市販の抗ヒスタミン剤含有のステロイド軟膏を塗ります。

●クモ
日本のクモの中でもっとも攻撃性の強いクモがカバキコマチグモ。夏から秋にかけて雌がススキの葉を巻いた中に棲息しているので、草原や空き地の巻いている葉を開けることはやめましょう。

刺されたときの応急手当
やけるような痛みの後に、発赤や腫れが見られます。人によっては水泡や潰瘍になるので注意しましょう。市販の抗ヒスタミン剤含有のステロイド軟膏を塗ります。痛みや腫れが強いときには病院に行きましょう。

●ブユ
ちょうどハチのような大きさでブーンといううなり音とともに飛んで来るブユ。日本には約60種類いますが、その中で人の血を吸うのは数種だけ。蚊と同じように雌だけが吸血します。赤い丘疹の中央に出血点があり、刺されてしばらくすると、強烈なかゆみが起こります。

刺されたときの応急手当
アレルギー反応を起こすと顔が腫れたり、発熱するなど症状がひどくなる人もいるので、市販の抗ヒスタミン剤含有のステロイド軟膏を塗り、様子を見て病院に行きましょう。

●蚊
人家の周辺にはどこにでも棲息し、卵の発育のための栄養として血液を必要とするので、雌だけが吸血します。アレルギー体質の人は、局所の腫れやかゆみがひどく、蚊の種類によっては症状が長く続くときがあります。

刺されたときの応急手当
市販の抗ステロイド軟膏を塗り、症状がひどい場合には病院に行きましょう。アレルギー体質の人は、野外に行くときには虫よけのスプレーなどでガードしましょう。

●毒ガ
ガの中に、ヒスタミンや酵素類などを含んだ0.1〜0.2mmの毒針毛を50〜100万本もっている毒ガと呼ばれる種類がいます。その毒針毛が皮膚に突き刺さると、皮膚炎を起こします。成虫よりも幼虫による被害が多くなっています。

刺されたときの応急手当
刺されたと思ったら、ガムテープなどの粘着剤を局所に当てて、毒針毛をはがし取ります。チクチクしか感じがなくなるまで何回も繰り返しましょう。かきむしると毒針毛がより多く、より深く入ってしまいます。その後、流水でよく洗い、ステロイド軟膏やかゆみ止め軟膏を塗っておきます。




毒ヘビにかまれる

すべてのへびが毒をもっているわけではないので、かんだへびが毒をもっているかどうか、観察して確認しましょう。毒へびの場合、2本のキバが刺さって、そこから毒が注入されるので、咬み跡には2ヵ所の深い傷が残ります。直
後からやけるような痛みが広がり、腫れてきます。

かまれたときの応急手当
毒が体に回らないように、傷よりも心臓に近い部分をハンカチなどできつく縛り、安静にします。できるだけ早く病院に行き、抗毒血清注射をしてもらいましょう。
かまれた場所をナイフで切り、血を吸い出すという通説がありますが、□の中に傷があるとへび毒に感染するので、血を絞り出しながら水で患部をよく洗って、救急車を待ちます。




日本医療企画「ホスピタウン」より



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