くり返していると本格的な椎間板ヘルニアに
急な姿勢の変化や行動のはずみでおこるぎっくり腰は、腰の筋肉の”肉離れ”や”腰椎の関節あるいは椎間板の損傷”のために起こるケースが多いようです。数日間安静にしていれば、自然に軽くなっていきますが、だからといって放置し、くり返していると、椎間板の損傷が拡大し、「腰部椎間板ヘルニア」になってしまうこともあります。
また、ぎっくり腰になってから数日たっても痛みが軽くならない場合や足にシビレを伴うときには、腰部椎間板ヘルニア等を疑い、整形外科に受診しましょう。
ちなみに、背骨は小さな骨(椎骨)が積み重なっているような構造をしており、椎骨と椎骨の間でクッションの役割をしているのが椎間板。この椎間板が外に飛び出してしまったのが腰部椎間板ヘルニアです。飛び出した椎間板が神経にあたり、神経痛や脊髄の症状を起こします。
また、腰椎の椎間板に何らかの変性(成分や構造が劣化すること)が生じ、その厚みが次第に薄くなると、腰椎同士の間隔が狭くなってぶつかりやすくなります。と同時に周囲のじん帯の変化も加わり、骨のふちにトゲのような突起物(骨棘)ができ、デコボコに変形した状態になります。これが「変形性腰椎症」で、中高年以上の人に多くみられます。変化の程度によっては、周囲の神経などを圧迫し、痛みのほかにしびれやマヒが現れることもあるので、早めに整形外科に受診することが必要です。
なってから後悔するよりもならないための注意を
魔女の一撃をくらってしまったら、安静にしていることが何よりの治療。本人にとって楽な姿勢で寝ることです。痛むほうを下にして、横向きに丸くなった姿勢も楽。このときに膝の間にクッションを挟んでおくとより楽といわれています。あお向けなら、ひざの下にクッションを入れ、ひざを立てた状態が腰への負担が軽いようです。うつぶせ寝は腰への負担が少なくありません。
急性腰痛症の場合には、数日安静にしていれば、痛みもだいぶ和らぎます。ここで痛みが消えるようならば、あまり心配はありません。無理をして病院へいくよりは、家で安静を保つのも一手。
ただし、直後からしびれやマヒを感じたり、発熱や血尿、頻繁に尿意を催すなどがあったり、2週間たっても痛みがひかないような場合には、整形外科を受診してください。
病院では、的確な診断の後、症状に応じて、患部を暖め血行をよくする温熱療法や、腰を機械で引っ張り椎間板にかかる負担を軽くするけん引療法、などの治療を行います。
また、いつもはなんでもない動作が急に腰の負担になるとしたら、筋力が低下しているか、中高年の女性では、カルシウム不足により骨粗鬆症を起こしているのかもしれません。とくに、骨を支える筋肉は、ちょうど鉄筋の建物のコンクリーートの役目をします。常日頃から、腹筋や背筋を鍛えて、丈夫にしておくことが大事です。
また、肥満も腰への負担を増加させます。肥満の人は食べ過ぎに注意しましょう。ダイエットをしても、カルシウムの摂取は十分に行ってください。
また、重たい荷物を持つときには、荷物に体を近づけ、しゃがんだ姿勢で持ち上げるようにすると、腰への負担は比較的軽くてすみます。 |