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Q)エコノミークラス症候群って何ですか?

夏休みに海外旅行へ出かけました。長時間、飛行機に乗っていたら頭痛がし、降りてからもしばらく治まりませんでした。よく言われている「エコノミークラス症候群」かと理解したのですが、この病気、名前はよく聞きますし、ストレッチなどの予防法も目にするのですが、そもそもどういう仕組みでどのような症状を起こすものなのか、知りません。
(36歳/男性)

A)血流低下と乾燥のため下肢に血栓ができる

「エコノミー・クラス症候群」は、飛行機の利用者が長時間座った後、からだを動かしたときに症状が出るもので、当初、エコノミークラスの利用者に肺梗塞が起きるなどし、それまで健康面で特にリスクを指摘されていない人たちの死亡例が見られたことから名付けられました(実はエコノミークラスのみで起きるのではないと分かってきた)。下肢深部血栓症と酷似しています。ご質問の方は飛行機に乗っている間に頭痛が起きたということでしたが、これは症候群とは関係ないと思われます。
病態としては、歩行などの動きを行っていないため下肢の静脈血流が低下している上に、狭い状態で座っているので鼠径部と膝部が屈曲されて、静脈断面がかなり狭くなり、そのため血栓(血の塊)ができてしまいます。さらに飛行機の中は砂漠と同じくらい乾燥しているので、血管内の水分が蒸発して血管内脱水になりやすく、血液の粘度が増して、ますます血栓ができやすくなります。
飛行機が着陸して歩行を開始すると、血流が増えるため、下肢の静脈に出来た血栓は、血管壁から離れて心臓に戻ります。心臓内は広い空間なので、そこでは詰まることはなく、肺まで行って血管を閉塞させ、肺梗塞などが起き、場合によっては死亡することがあります。
サッカー代表に選ばれる可能性のあった高原選手が、飛行機移動中にこの病気になったことからも、肉体的にハンディを持つ人だけがかかるものではないということが分かります。エコノミークラス症候群を避けるには、水分をとり、足を伸ばしたり足の筋肉をマッサージすることが必要です。飛行機で水分もとらずにずっと寝ていると、この疾患に罹患する可能性は高くなります。




Q)夜中に足がつって痛さで目が覚める。病院では何科にかかればいい?

ここ1年ほど、頻繁に足の指がつるので閉口しています。それも決まって夜中に起こり、足がつる痛さで目が覚めるのです。足の筋を伸ばしたりして痛さを解消しようとするのですが、なかなか元に戻りません。一日中、机にむかって仕事をしているので、運動不足かとも思うのですが、ほかに原因はあるのでしょうか。また、病院では何科に行けばいいのでしょうか。
(46歳/女性)

A)運動不足だけが原因で起こることはあまりない

ご質問の「筋肉がつる」という症状は、「筋けいれん」、症状が強い場合には「こむら返り」といいます。健康な人でも日常生活でしばしば経験することがあり、特に激しい運動時などにみられます。しかし、症状が続く、度々つる、程度が強くなるなど進行する場合や、筋肉のつる部位が広がったりする場合には、原因として何らかの疾患が隠れていることもあり、留意が必要です。
まず筋肉がつる「筋けいれん」を来すことのある原囚を挙げてみます。健康な人では、過度の運動による疲労時や、強い筋収縮時にみられることがありますが、その他に様々な状態や病気で起こることがあります。たとえば、妊娠や脱水、過換気状態、低カルシウム血症等の電解質異常、甲状腺機能障害、筋肉の炎症、寒冷や血管障害などによる末梢循環障害、肝機能障害や糖尿病、あるいは腰椎症による末梢神経障害でもみられます。
ご質問の内容では足先がつるということですが、ほかの症状があるかないかということも、原囚を調べる上で人切なことです。
一般には強く筋肉に力を入れたりすることがなければ、運動不足自体で起こすことはないと思います。むしろ、足の末梢循環が悪かったり、長時間座った位置を保つことで腰椎症があるなど足の神経を障害していることがあり得るかもしれません。
足がつった際の対処法としては、つった筋肉を手で伸ばしたり、マッサージをして循環をよくしたり、冷えているようなら温めてみてください。
足がつるのは「筋けいれん」という症状名になるとお話ししましたが、病院の専門科としては、神経内科の受診をお勧めします。原因を調べるためには、ほかの症状が隠れていないか、一度よく診てもらうことが大切です。




Q)ペット・ロスになるのが心配です。心構えをしておきたい

我が家で飼っている犬はまだ3歳ですが、あまりにかわいいので、今から「ペット・ロス」になったときのことを心配してしまいます。両親、特に専業主婦の母には生き甲斐に近いように見えます。あまり落ち込まずに済むように今から心がけておくことがあれば、もしくは、いつか犬が死んでしまったときに私が両親にしてあげられることなどありましたら、アドバイスをお願いします。
(25歳/女性)

A)悲しみを受けとめてあげることが大切

いわゆる「ペット・ロス」は、愛する動物を失った人の正常な悲しみの反応であり、決して特別なことではありません。ペット・ロスから立ち直っていくプロセスは通常、次の4段階に分けられます。
第1段階はペットの死を現実として受け入れる段階ですが、素直に受け入れるのはとても難しく、受け入れるまでに時間がかかります。第2段階は自分の悲しい気持ちを素直に表現する時期です。第3段階は動物のいない状態に適応する回復刻です。そして第4段階では、さらに進んで、亡くなったペットが想い出となります。
4つの段階それぞれを明確に分けることはできず、オーバーラップしたり少し逆戻りしたりしながら回復していきますが、各段階を通過することにより、悲しみから徐々に解放されていきます。
ペットを失ったことで一時期ひどく落ち込んだとしても、そのダメージから自然に回復していくのであれば全く問題はありません。ご家族もそのように理解してあげて、「ペットが死んだぐらいで情けない」と思わず、ペットの死による悲しみをお母様と共有してあげることが大切です。
具体的には、お母様が「犬が死んで悲しい」と語ってくれば、その気持ちをおざなりにせず、「確かにそれはとても悲しいことだね」と受けとめてあげるのがいいと思います。
ペットを失った悲しみを他の人も理解してくれていることがわかると、悲しみは日がたつにつれ、徐々に自然に癒えていくと思います。





日本医療企画「ホスピタウン」より



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