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Q)中性脂肪が低いが大丈夫なのだろうか?今年から急に下がりました。

今年の健康診断の結果、中性脂肪の数値が36mg/dlと出て、「経過観察」と言われました。ちなみに前年は52mg/dlでした。今年から1人暮らしをはじめたので、数値が下がったのはそのせいかもしれません。中性脂肪値が低いと、何か問題があるのでしょうか。あまり聞いたことがないので心配です。
(40歳/男性)

A)ほとんどの場合問題なし特に治療の必要もありません。

コレステロール値や中性脂肪値が高い「高脂血症」はよく知られていますが、反対にそれらの値が低いと「低脂血症」となります。
通常、低脂血症とは以下のような場合を呼びます。
総コレステロール:120mg/dl未満
中性脂肪:150mg/dl未満
HDLコレステロール:40mg/dl未満
ご質問の方は、中性脂肪が52mg/dl、あるいは36mg/dlということですから、一応低脂血症として考えてよいでしょう。ほとんどの場合は問題なく、治療も必要ないのですが、心配なようでしたら、以下の項目をチェックして下さい。

(1)身長、体重、体脂肪はどの位か?

健康診断では血液検査で脂肪値を調べますが、体内脂肪は血液中だけでなく、皮下や内臓の周囲・肝臓などに存在します。ですから血液以外の脂肪の分布をみるわけです。

(2)中性脂肪以外の総コレステロールやHDLコレステロールはどのくらいの数値か?

総コレステロールも低い場合には、肝臓の機能が低下した状態や、甲状腺機能亢進症などの病気による二次的な影響も考えます。

(3)一度、食後3時間くらいの血液で中性脂肪の値を測定する。

血糖値が食後45〜90分くらいでもっとも高くなるのに比べて、血中の中性脂肪の値は食後3時間くらいで最高になります。この値をみることで、腸管からの食事の吸収に問題があるかどうかを判断します。

ごくまれに、脂肪成分を血液の中で運搬する蛋白成分(リボ蛋白)の異常などによって中性脂肪が低くなることもあります。




Q)血圧が低すぎるように思うのですが・・・改善方法も知りたい

私は血圧が低く、上が90台で下が50台、低いときは80台の40台くらいになります。高血圧の問題についてはよく耳にしますが、低血圧の場合は心配しなくてよいのでしょうか。留意事項があるとしたら、大体「いくつ以下であれば気をつける」という数値の目安を教えてください。また、改善するために日常生活で心がけることがあれば、あわせて教えてください。
(30歳/女性)

A)気に病む必要はない偏食を避け、毎日運動を

低血圧とは、収縮期(最高)血圧が100mmHg未満をさします。この方は「上が90台」とのことですから、低血圧症といえるでしょう。低血圧は通常次の3つに分類されます。

症候性低血圧:低血圧を引き起こす基礎疾患がある場合
本態性低血圧:原因となる疾患のない低血圧
起立性低血圧:立ち上がるなど、体位変換時にめまい、立ちくらみなどを伴い、血圧が低下する

この方は明らかな病気もなく、普通に過ごしておられ、めまい、立ちくらみなどの症状もなく、日常的に血圧が低いとのことですので、本態性低血圧症ではないかと推測されます。日常的に生活に支障がなければ、単に血圧が低いというだけで、一種の体質とも考えられますので、心配する必要はないものと思います。
改善のための対策としては次のようなものが挙げられます。
(1)食事では偏食を避け、たんぱく、ミネラル(塩分、カルシウムなど)、ビタミン不足に注意する
(2)1日30分くらい早足で歩くなど、運動を心がける
(3)睡眠をきちんととり、仕事を規則的に行う

血圧の目安ですが、収縮期血圧が80mmHg未満、拡張期(最低)が40mmHg未満であれば、症候性低血圧が疑われ、精密検査が必要です。低血圧と徐脈(1分間の脈拍が40未満)が同時にあれば、検査を受けてください。
一般的に低血圧の方はやせ型のことが多く、神経が細やかで、ほかにも胃腸症状などが気になったり、性格的にも楽天的とはいえない方が多いといわれています。
しかし高血圧と違って、臓器障害(心臓、腎臓、脳の病気)を引き起こすことはまずありません。ですから、血圧が低いことを気に病むことはないと考えていただいてよいと思います。




Q)ある日突然、全身にじん麻疹が出てきた。心身が弱ったからですか?

先日突然、首や腕にじん麻疹が出現。ついには全身へ広がっていったので、翌日、病院で点滴を打ってもらい、消えました。初めて使った日焼け止めが原因かとも思ったのですが、薬剤によりアレルギーを起こしたことはありません。ハードな仕事に就いていて、その日は疲労やストレスもピークだったと思います。心身が弱るとじん麻疹が出るようなことはあるのでしょうか。
(28歳/女性)

A)過労のため、もとの体質がはじめて表に現れた

じん麻疹は代表的なアレルギー疾患の1つに挙げられていますが、特定の抗原(アレルゲン)が原因となって起こるじん麻疹は、驚くほど少ないものです。
特定の抗原として有名なのは、えび、かに、そば粉や小麦などの食物、ネコや羊毛などの生活環境物、抗生物質やピリン系薬剤などの薬品がありますが、一般に外来を訪れるじん麻疹の患者さんで、このような特定の原因抗原が明らかにされることは、きわめて稀です。
この方の場合も、日焼け止めを使っていない部位も含めた全身に広がっていることから、日焼け止めが原因とは考えにくく、過労のため、もともと持っていたじん麻疹を出しやすい体質が、はじめて表に現れたものといえます。この体質がどのようなものなのかは不明ですが、睡眠不足や精神的ストレス、あるいは細菌感染(軽い扁桃炎など)などを諸因に、ある日突然、じん麻疹が出てびっくりされた方はたくさんいらっしゃるはずです。
若年者では一時的に出て、以降出てこない場合(急性じん麻疹)が多いようですが、成人では、何ヵ月にも渡って(時には数年)出没し、日常生活に支障をきたす場合(慢性じん麻疹)もあります。じん麻疹を誘発するような過度の疲労や睡眠不足、精神的ストレスをできるだけ避けるようにしなければなりません。
この方も、再びじん麻疹が出没する可能性が大きいといえます。ストレスを少なくしてみても出ることが多いので、そのような時は医師に相談し、抗アレルギー剤を内服するべきでしょう。最近では眠気のないタイプ、1日1回で充分なタイプなどの薬剤があり便利です。じん麻疹には寿命があると言われています。ゆっくりつきあっていくと、そのうち出なくなります。




Q)20年前に前歯が欠けた。このままで大丈夫ですか?

学生のころ−といっても今から20年あまりも前のことですが、泥酔したあげくに顔面からまっ先に地面と激突してしまい、前歯が欠けた状態になってしまいました。直後は神経がブラブラし、かなり悲惨な状況。「若気のいたり」というんでしょうか、歯医者にも行かず現在に至ります。痛みもありません。このままにしておいて大丈夫でしょうか・・・。
(42歳/男性)

A)歯の周囲か歯自体に影響を受けることがある

直接拝見できないので起こりうることを考えましょう。
歯の受傷時には(1)周囲の組織、(2)歯自体が、影響を受けることがあります。(1)には歯の周りの骨や歯根膜がダメージを受ける場合があります。前者は骨折などですが、質問内容から、このケースではないでしょう。後者では歯と骨が直接接触し、そこから歯根が吸収することかあります。受傷直後に受診しても観察するしかないので、結果は現在と同じです。
次に(2)ですが、歯根や歯冠(表に出ている部分)が破折してしまう場合です。前者では観察するしかないので、結果は現在と同じです。歯冠が折れた時は歯の神経(歯髄)にダメージがある場合とない場合があります。
「直後は神経がブラブラし」とあるので歯髄は死んでいると思われます。そうなると歯根の先端に痛みはないが炎症はあるという状況になることが多いです。また歯髄があった管が虫歯になる場合もあり、進行が著しいときは抜歯が治療になります。
歯は骨に植わった硬い組織が体外に露出しているという特殊な組織(周囲の骨が感染すると大変)なので、感染を防ぐための防御ラインがあります。前述した歯根先端の炎症もそうですし、歯周病で骨が喪失するのは細菌感染から身を守るために骨を溶かしている、という解釈もあります。ですから重篤な状況になる可能性は低いのです。
むしろ心配なのは42歳で20年以上歯科医院を訪れていないことです。年齢的に歯周病が進行していることもあるので、歯科医院でチェックしてもらうことをお薦めします。その際「なぜ今まで放っておいた」と叱責する歯科医師であれば、積極的にセカンドオピニオンを求めるのが賢いでしょう。




日本医療企画「ホスピタウン」より



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