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Q)妊娠前に予防接種は必要?来たるべきときに備えたい

友人がこのたび出産したため、妊娠・出産が急に身近なことに思えてきました。来たるべきときに備えて知っておきたいのですが、子どもの頃受けなかったもので、妊娠前に済ませておくべき予防接種はありますか。また私は昭和51年生まれで、数年前にポリオの予防接種を再度受けるようにという告知を見ましたが、受けていません。これも受けておいたほうがよいのでしょうか。
(26歳/女性)

A)妊娠初期に風疹にかかると胎児に障害を起こす

妊娠、出産の際にかかっては困る感染症としては、風疹、B型肝炎、C型肝炎、梅毒、クラミジア、トコソプラズマ感染症、サイトメガロ感染症などさまざまあります。しかし、予防接種が可能なものは限られています。
風疹は、通常、子どものときに感染していることが多く「三日ばしか」といわれるような症状が出ます。症状が現れずに感染している(不顕性感染)こともあり、感染して抗体があれば通常再び感染することはありません。感染しても症状が軽いのですが、これが妊娠初期に感染してしまうと、胎児に重篤な障害を起こすことが知られています。感染の時期が早いほど、その障害の程度は重く、妊娠15週過ぎに感染した場合にはほとんど心配はありません。先天性風疹症候群とは、先天性眼、耳、心臓の奇形のことを指します。風疹の抗体を持っているかどうかは、妊娠して産婦人科を受診すれば検査をしてくれますが、このときに抗体陰性でも予防接種を受けるわけにはいかないので、あらかじめ妊娠していない時期に抗体検査を受ける必要があります。保健所あるいは近医に相談してみてください。妊娠中に抗体陰性の方は、感染しないように注意する必要があります。それは、人込みを避ける、子どもの集団には近づかないなどです。妊娠5ヵ月からは心配ありません。
ポリオについては、妊娠中に感染してどうなるかはあまりよく知られていませんが、一般的には予防接種を受けておくほうがいいでしょう。




Q)関節リウマチのことについて知りたいのです

関節リウマチのことについてお聞きしたいと思います。とかく難病の代名詞として語られることの多い疾病ですが、そのわりには実情を知らない人が多いのではないでしょうか。
完治することはない、とも聞いたことがありますが・・・その原因や症状、治療法について教えていただけると幸いです。
(55歳/男性)

A)「治るか治らないか」がこれほど難しい疾病はほかにない

リウマチ性疾患の症状としてあげられるのが、関節周辺の筋肉、腱の痛み、そして腱鞘炎で、痛み、腫れ、熱が起き、局所に赤い炎症が出ます。これ以外に発熱があり、不明熱として37〜38度の状態が6週間以上続きます。一般的に、発熱する疾病の代表は感染症、がん、膠原病で、それぞれが3分の1ずつの割合を占めます。このほかにだるさ、体重減少、食欲不振、朝のこわ張り、筋力低下など老化や更年期障害に類似の症状があげられます。
患者にとっての恐怖は、何と言っても痛みです。リウマチは、その内容が複雑多岐にわたっているのですが、慢性疼痛の研究は最近進んでいます。原因の半分以上は脳、こころが関係しており、ストレスがなくなるだけで症状が10分の1に減ると言われています。
ヨーロッパ、とくにドイツ医学では整形外科・リハビリテーション科が中心の治療であるのに対して、米国医学では内科が中心というのがこれまでの伝統です。日本でリウマチが内科的疾患としてとらえられ、リウマチ科の標榜が認められたのはつい2、3年前のこと。現在は内科と整形外科・リハビリ科がほぼ半々の状態となっています。
「治るか治らないか」が、これほど難しい疾病は、ほかにありません。再生医学の面では、将来は軟骨、骨の再生が盛んになると思われますが、現時点では、整形外科的には人工関節の手術を行うことになります。




Q)乗り物酔いを起こす要因にはどのようなものがあるのでしょう

子供の頃から、乗り物酔いに悩まされ続けています。特に新車の助手席に乗ったときに頭痛や吐き気などの症状がひどく、ドライブに誘われても丁重にお断りする有り様です。そもそも乗り物酔いを起こす要因にはどのようなものがあるのでしょうか。また、自分がハンドルを握ると、きまって酔いが消えるのですが、これはどういうことなのでしょうか。
(33歳/男性)

A)視覚か情報と三半規管からの情報に「齟齬(そご)」をきたすため

私たちは自分のからだの位置関係、つまり「自分が普通に立っているのか、逆さまになっているのか」が目をつぶっていても分かります。これは内耳にある三半規管という器官のおかげなのです。実際にはほかの器官も重力をある程度は関知できるので、そのような情報を統括して、からだの位置関係がわかるのですが、主なものは三半規管と考えてよいでしょう。
みなさんも経験があると思いますが、傾いた部屋にいると、視覚からの情報と三半規管からの情報に「齟齬」をきたし、めまいや吐き気を感じることがあります。からだが常に揺れている場合でも、前庭神経を通って脳の中枢に送られる三半規管からの信号が絶えず変化し、めまいや吐き気を起こすのです。
新車の助手席に座ると乗り物酔いの症状がひどくなるのは、車内の匂いの作用、そして助手席と周囲の風景との差が視野に入ってきて、三半規管との齟齬が起きやすくなるためだと思います。
とくに「また乗り物酔いになるかもしれない」と思ってしまうことで、意識がそちらに向き、中枢への情報を加重してしまうため、さらに酔いやすくなることもあるでしょう。自分でハンドルを握っているときは、反対に意識が運転に集中しますから、酔いにくくなるわけです。
酔い止めの薬は前庭神経からの情報の流入を抑える作用や、めまい、吐き気を直接抑える抗ヒスタミン作用を持っており、効果的です。




日本医療企画「ホスピタウン」より



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