子供の頃から、乗り物酔いに悩まされ続けています。特に新車の助手席に乗ったときに頭痛や吐き気などの症状がひどく、ドライブに誘われても丁重にお断りする有り様です。そもそも乗り物酔いを起こす要因にはどのようなものがあるのでしょうか。また、自分がハンドルを握ると、きまって酔いが消えるのですが、これはどういうことなのでしょうか。
(33歳/男性)
A)視覚か情報と三半規管からの情報に「齟齬(そご)」をきたすため
私たちは自分のからだの位置関係、つまり「自分が普通に立っているのか、逆さまになっているのか」が目をつぶっていても分かります。これは内耳にある三半規管という器官のおかげなのです。実際にはほかの器官も重力をある程度は関知できるので、そのような情報を統括して、からだの位置関係がわかるのですが、主なものは三半規管と考えてよいでしょう。
みなさんも経験があると思いますが、傾いた部屋にいると、視覚からの情報と三半規管からの情報に「齟齬」をきたし、めまいや吐き気を感じることがあります。からだが常に揺れている場合でも、前庭神経を通って脳の中枢に送られる三半規管からの信号が絶えず変化し、めまいや吐き気を起こすのです。
新車の助手席に座ると乗り物酔いの症状がひどくなるのは、車内の匂いの作用、そして助手席と周囲の風景との差が視野に入ってきて、三半規管との齟齬が起きやすくなるためだと思います。
とくに「また乗り物酔いになるかもしれない」と思ってしまうことで、意識がそちらに向き、中枢への情報を加重してしまうため、さらに酔いやすくなることもあるでしょう。自分でハンドルを握っているときは、反対に意識が運転に集中しますから、酔いにくくなるわけです。
酔い止めの薬は前庭神経からの情報の流入を抑える作用や、めまい、吐き気を直接抑える抗ヒスタミン作用を持っており、効果的です。 |